29話 「報告」 ページ32
「いや、別にいいよ」
翌日、アカデミーの後にカカシにお礼をしに行った。今日も弁当をつくってもらったのだ。
「しかしAがお礼をしに来るとは意外だな」
「ん？それはどういう意味かなぁぁぁぁあああああああ？」
ｼｭｯ
どんどん顔を近づけていったらカカシは横から手刀を私の頭に当て
ようとした。しかし私は反射的にスルリとカカシの手を避けた。
「……まさか避けるとはな」
一瞬目を丸くしたカカシは独り言のように呟いた。
「なめんなよー！それより弁当は誠にあざました！」
「お前、言葉変……」
カカシが言い終える前に私は地面を蹴り、跳ね上がり、自宅へと向かった！
アカデミーに入学してから一週間が過ぎた。
「……そろそろかな」
ナルトのことはもちろんだが、その前にやらないといけない事がある。私は木ノ葉に来てから一ヶ月に一度、ゼツを通して九尾についてオビトに報告していた。今日は七回目。誰にも気づかれないように、毎回夜にゼツに会いにいく。いつもの場所、木ノ葉の外れにある森へと向かう。
「やっほーい！！ゼツくん！！」
「なんか雰囲気変わったよね、A」
「………やはり馬鹿は移るのか」
私はボソッと言った。
「デ、九尾ノ情報ハ得ラレタノカ」
知ってた？九尾は馬鹿なんだよ！！と思わず言いそうになったが、慌てて口を塞いだ。黒ゼツにふざけたことを言うと多分ガチで切れる。ガチで切れたら物凄く怖い………らしい…………
「そんな大したことは無かったけど、私たちアカデミーに入学したんだよぉー！すげぇだらぁ」
「凄クナイ」
ここは空気読めや黒ゼツ。
「それでねぇ……」
隠すことはない、私はこの一ヶ月間で起こったことを全て話した。
「で、カカシさんが私を見張ってるわけだし、まだスパイの可能性を疑われているみたいだよー！なんとかやり過ごしてるけど」
ﾋﾞｼｯ
私は勢いよく腕を前に伸ばし、親指をあげて「ｸﾞｯ」とやって見せた。
「だけどバレたらやばいよね。火影に信用してもらえるよう、頑張ってみて」
「ういー」
そう言った瞬間、夜の闇はうすい光によって消されていった。辺りがみるみるうちに明るくなっていく。
「日が昇ってきたからそろそろ行かないと」
ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ…………
ゼツは地面に沈んでいくように消えていった。
ナルトが来る前に家に戻らないと！！
今日こそ、みんなを誘ってみようかな。ナルトと私、二人では鬼ごっこも出来ない……。
そんなことを考えていると……
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作者名：いっちー | 作成日時：2017年8月17日 23時
