22話 「退屈」 ページ25
「ねぇ……此処ってつまんなくない?」
木ノ葉に来て一週間が過ぎた。此処の暮らしには慣れてきたが、あまりにも退屈すぎる。外に出るのが許可されているのも僅かな時間だけだ。
「アカデミーに入学する時には此処から出してもらえるんだからもうちょっとの辛抱だってばよ……」
ナルトが言う。私がナルトと仲良くし始めてからは、誰も私を遊びに誘うことは無かった。私はどうでもよかったのだが、ナルトはみんなと遊びたさそう……。この施設の殆どの子には親がいない。一番ナルトの気持ちを分かってあげられるはずなのに、誰も分かってあげないんだね……。ナルトも退屈なんだろうな。
「ナルトー!いいこと思いついちゃったんだけどちょっと耳貸してー」
「えぇ?!耳貸すってどうやって貸せばいいってばよ?!」
アホか此奴は。
「馬鹿かお前、ちょっと聞けっつう意味だよ」
「へい!!」
ナルトが敬礼をする。
「あのねぇ…………………」
「なーるほどぉ!いい考えだってばよ!!早速行く──グエッ」
ナルトの腹に拳を入れる。
「声デカい、バレたらどうするの」
「……………………」
「……あ、気絶しちゃった」
強すぎたぁ……。
「うずまきナルト復活だってばよ!」
数分後ナルトの意識が戻った。変だなぁ…。さっきのは普通の人間じゃ回復するのに一日はかかるはず……………これが九尾か!
「じゃあナルト、さっき言ったのでおけ?」
「おけー!!だってばよ!!」
数分前のこと。このつまらない施設から逃げ出すためにナルトに協力を求めたのだ。勿論自分一人で逃げ出すのは簡単だけど、ナルトも退屈そうだし連れてってあげることにした。私が職員の気を引いている間に、ナルトに職員の部屋からドアの鍵を盗むよう、指示した。
「あ、ねぇねぇ職員さん、面白いもの見せるからちょっと来て〜」
「Aちゃん、私たちはそんなに暇じゃな…」
「見てて!私輪廻眼を開眼したの!」
「……?!」
勿論真っ赤な嘘。だが、周りの職員、暗部の気を引くには十分だ。
「………Aちゃん……どこでそんなことを……」
「信じないの?じゃあ見ててぇ」
ザッ 大人達が私の周りに集まって来た。院長もいる。みんな来たのか?なんかやべぇなぁ………
………今だ。ナルト!!
「任せとけってばよ」
視界の隅でナルトが囁いたのが見えた。ナルトがドアを開けるまで時間を稼がないと。しかし、実は輪廻眼なんて嘘でしたぁって言い難いな………………。
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作者名:いっちー | 作成日時:2017年8月17日 23時