21話 「嫌われ者」 ページ24
「私の名前はAです。よろしく」
「………シンプルだね！」
ニコッとまたあの不気味な笑みで院長が言ってきた。……名前以外は言う必要あるか？てっきり名字も聞かれると思ったのだが……ここは孤児院か。名字の無い子はいくらでもいるはずだ。
「それじゃあみんな仲良くしてね」
そう言うと、院長は廊下の奥へと消えていった。
「よろしくねAちゃん」
「よろしく！」
「私、リナって言うの」
「仲良くしよーね」
部屋に行くと、女どもがゾロゾロと虫みたいに寄ってくる。
「Aちゃんどこから来たの？」
「何が得意ー？」
子供たちからの質問を全て適当に答えたら、ようやく満足したらしくみんなまた仲良く、ゾロゾロと広間へ向かった。私もそれについていく。広間では、みんな玩具で遊んだり、鬼ごっこをしたりしている。
「…………なんか物凄くつまんなそう……」
思わずボソッと呟いた。
「…………！！」
みんな、楽しそうに笑う中、一人だけ悲しそうに隅でしゃがみこんでいる子がいた。
「ねぇ……あの子は？」
近くの子に聞いてみる。
「え？あ、あぁ。あの子はね、周りの大人達がいつも避けてたりするから、みんなあの子とは話しちゃダメだって決まってるの。」
「……」
無意識に隅の子供に近寄る。それに気づいたのか、子供はパッと顔を上げた。金髪の短い髪に、青い眼。頬には猫髭のような三本の線。このチャクラは……………
……九尾？
「……？何じっと見てるんだってばよ」
きっと警戒しているのだろう。こういう時は……取り敢えずアホになればいいのか。
「え？あ、いや〜！あははははは！！！！」
じーーーー…
先程よりも鋭い目で見られている気がする。
「そ、それよりさぁ……君の名前は？」
「…………うずまきナルト」
「ナルト君か！いきなりだけど友達にならない？」
「……！！」
驚きと喜びを隠しきれずに、ナルトの顔はみるみるうちに笑顔に変わっていった。
「本当に？！」
が、少し曇った表情で言った。
「…………だけど、俺ってばよくわかんないけどみんなに避けられてる気がするし……本当に俺でいいの？」
「私だって嫌われ者だし、似たもの同士だなって思ったからさ！」
「本当に……本当にいいのか？」
「もっちの、ろん！」
「ありがとうだってばよ！！！！」
ナルトは涙目になりながら叫んだ。そんなに嬉しかったのか……
……これが全て嘘だったと、ナルトはいずれ知ることになるのだろうが……
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作者名：いっちー | 作成日時：2017年8月17日 23時
