20話 「孤児院」 ページ23
「今迄ずっと一人だったのじゃな………辛かったろう………」
……そう言われましても……
私は黙って俯いて見せた。こういう反応が一番かな……。
「質問ですが、火影様。この子はどうするのでしょうか」
「うむ………先程の会議で、この子は暫く里の施設で預かってもらうことになった」
「……暗部の監視がついている……あの施設ですか」
急に声を潜めて話し出した。が、私には丸聞こえだよ!
「………………この子は悪魔で外部の人間じゃ。暫く様子を見る必要がある」
「……そうですか。しかし……あの施設には……九…」
ギッ
鋭い目で火影は門番の人を睨みつけた。
おぉ、怖い怖い
「す、すみません……」
「ねぇお爺さん、私……どこに行くの?」
「お、お爺さん?!」
火影様と言ったら逆に変だから仕方ないだろう
「心配せんでいい!優しい人達が沢山おる、とてもいい所じゃ」
何その天国に連れてってあげます、みたいなセリフ。
……さっき門番の人が言いかけてたのって……絶対「九尾」だよね。なんだか、最近ついてる気がする。一瞬だけニヤリと笑みが零れた……
「この子が例の子です。よろしくお願いします。」
門番の人に連れられ、私は火影室がある忍者アカデミーの横にある、施設に来た。確か九尾の子は親がいないんだよな…。だからこの施設に入れられたって訳か。
他人から見れば極普通の家のような施設。暗部が監視しているとか言っていたよね。そんなにやばいのか?九尾は。それと同じ扱いされている私もやばいが。
「………髪色と眼の色以外は普通の子だね」
孤児院の院長?は以外そうな目で私を見た。獣でも期待してたのか此奴は。
中に足を踏み入れると、本当に普通の家だった。広くて、結構快適そうだ。此処には、他国から引き取られた子供や、里を抜けようとした子供など、色々な事情を持った子がいた。施設は大きく三つに分けられている。一つは女用の部屋、もう一つは男用。そして、私が今がいる、家でいえばリビングのような場所がある。奥には職員の部屋などが幾つかあるみたいだ。
「Aちゃん……だったね、今日から私は君のお父さんだ……よろしくね。」
いかにも裏がありそうな笑顔で彼は手を差し出してきた。私も同じような笑顔で返した。
「では、私はこれで」
門番の人は立ち去って行った。
パンパンッ
院長が手を鳴らす。
「今日は君たちの新しい兄弟を紹介するよ、さ、Aちゃん」
……自己紹介か……めんど……
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作者名:いっちー | 作成日時:2017年8月17日 23時