19話 「フリ」 ページ22
コンコンッ
「失礼します」
一礼をしてから火影室に入る。俺の後を、キョロキョロと周りを見る少女がついてきた。
俺はこの子について少しは調べようした。が、どの質問にも此奴は「わからない」と答える。まぁ……忍具は持っていないし、チャクラも普通だし、こんな小さな子供が危険なわけないよな。
「門番ご苦労じゃったな。……その子は?」
火影様は少女に視線を向ける
「この子は……名前はAと言うそうです。私が門を見張っていたところ、急に茂みから姿を現して…………」
俺は火影様に今迄の状況や、彼女の様子などを報告した。
「……そうか。おぬし、家はどこじゃ」
再びAの方を向く
「……わかりません」
「家族は?」
「…わかりません」
「知り合いは居らぬのか?」
「……すみません。覚えていません」
「………記憶喪失か……?」
俺が静かに呟くと、火影様はゆっくり頷いた。
「一種の幻術にかかっているのかもしれぬ……困ったのう……このまま放っておくわけにも行かぬし……取り敢えず今は疲れているじゃろう。隣の客室で休ませてやってくれ。」
「はっ」
そう言い、俺はAの手を取り火影室を後にした。
〜門番side〜終了
…なんでこんなおっさんと手を繋がなきゃいけないんだよ……。私は火影室の隣にある客室に寝かされた。門番の人が去り、部屋の明かりが消えると、辺りは真っ暗になった。窓を一筋の月の光が刺す。
私はぼんやりとした天上を見上げた。今日は取り敢えず、木ノ葉侵入に成功したってことでいいのかな……。私はここでは「記憶を失くした可哀想な少女」なんだから、色々と聞かれたりはされないだろうし、丁度いいな!
今日の整理をしようとするが、眠気が私を襲う。今日はもう疲れたし……寝ようかなぁ……。そう考えているうちに私は夢の中へと飲み込まれて行った…………
「うぁぁぁあああああ!!!!」
バッ
物凄い叫び声が聞こえ、私は飛び起きた。誰だよ、今の……辺りを見回しても、私以外誰もいない。…………………あ、自分か。自分の叫び声で起きるとはなんて馬鹿な話だ。
「はぁ…」
溜息をついたその瞬間、扉が勢い良く開いた。
「だ、大丈夫か?!何があった!!」
昨日の門番の人が立っていた。
「え?あ、いや。何もありません、です」
思わず変な日本語で答えてしまった。
「具合はどうじゃ?」
火影様も部屋に入ってきた。
「元気になりました、よ!」
子供らしく、明るく言…おうとした!
フリは中々難しいものだ…………。
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作者名:いっちー | 作成日時:2017年8月17日 23時