16話 「バケモノ」 ページ19
あたりを見回せばどこまでも続く白。真っ白い空間に私は立っている。音もない。匂いもない。何も感じない。五感が狂いそうだ。
そして前に映し出されたのは、私の古い記憶。巨大な映画館にでもいるような気分だ。
私が生まれた日は「夢隠れの悲劇」と呼ばれた。私が生まれた
その後にある里に引き取られ、四年間牢獄に封印された。その里は違う国にこの力が渡らないように、それと自分達の戦力を強めようとして私を引き取ったらしい。私を「使う」ときだけ相手にした。「使わない」ときはゴミ扱い。しかし、それは憎しみを生むだけで、私の力はまた暴走し、その里は壊滅状態となった。
だれもわかってくれない。私はバケモノではないのだと。私は、みんなと同じ、人間なのだということを………………………。
「……起きたか?うん」
「……っ!!」
ガバッ 起きるとデイダラの家にいた。
「……レンマさんの事異常な程聞きまくるから、まさかと思って家に行ったら……うん」
「……見てたのか」
「ああ」
……しかしやりすぎたな。あんなに暗部がいるってことは当然土影にも知らされているだろう。デイダラも普通に見てたってことは里にもとっくにバレバレだろう。
「……私は……レンマを、暗部を殺したんだよ?なんでこんなバケモノを助けたの」
「お前はバケモノじゃねぇ…人間だろうが……うん」
「……っ!!」
私は…………………………人間。
「それにお前好きでやってるんじゃないとか言ってたし、やらされてんのかなって……うん」
私は……確かにオビトに頼まれてやったんだけど、それは自分の意志でだ。
「お前、このままじゃ絶対牢獄行きだろ。お前は…………自由になりたいんだろう?」
全てを見透かしたような青い目。私を見る目は皆同じ。暗くて冷たい、バケモノを見るような目。だけどデイダラは、私を同じ人間として見ていた。
「あと……………………………………
あの大爆発やばかったな!!うん!!」
「……へ?」
「俺はこの頃自分の芸術に不満を持っててなぁ、更なる芸術を探し求めていたんだけど今やっと見つけた気がするぜ!!うん!!
芸術は爆発だぁ!!うん!!!!」
「ははぁ……」
やっぱ子供だな。考えてる事はぜんっっぜん子供じゃないけど。
私もだけどねぇ……………………。
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作者名:いっちー | 作成日時:2017年8月17日 23時