9話 「見下ろす悪魔」 ページ11
「お前らがそうだと……里は守れないよ」
冷たい目で見下ろすと、彼らは私を睨み返した。重傷は負ったものの、まだ息はあるようだ。
「Aも油断してちゃダメだよ……。君のことが木ノ葉にバレたら大変なんだから。」
………………え？今の声は………ゼツ……？
ﾊﾞｯ!!
振り返るとゼツがいた。なんでゼツがここに？？口を開こうとすると、ゼツは男の死体を私に放り投げてきた。
「うゎぁああ！」
ビビって思わず飛び上がってしまったではないか！！
「…ってゼツなんでここにいるの？！」
「オビトに頼まれたんだよ。流石に四歳の子供を一人で敵地に行かせたりはしないみたいだよ。」
「マダ信用デキナイオマエガ暁ノ情報をハカナイヨウニモナ」
「おい、黒ゼツ…………。まあ、そういうことだ。君の足元にいるその男が忍鳥を使って火影に報告をしようとしていた。下手をすれば君や暁のことがバレるところだったんだぞ……」
？！
確かに全員に直撃したはずなのに……！！……私は任務を甘く見ていたようだ。
「ごめん……次からは本気出すから」
「謝ッテ済ムモノデハナイ。ワレワレハ万ガ一オマエガシクジッタトキ、オマエヲ始末シロト、オビトニイワレタノダ」
………オビトが…………………………そんなことを？
「それで、そこの連中はどうするつもりだ。」
「……ヤツラハ知リスギタ。モチロン消サナケレバ。殺レ、A。」
…………。私は横たわる忍びの前まで歩いて行く。……何故か手は震えていた。今更何だ。人を殺せない？自分が馬鹿みたいだ。私は今迄数え切れないほどの命を奪ってきた。なのに………何故手が震える。
私は辺りを見回した。木ノ葉の忍は皆、必死な表情でこちらを見上げていた。その目に映る私は悪魔にでも見えるのだろうか。
この人たちに、罪はない。そうだ……この人たちが何をしたというのか。私に何もしていない。ただ迷子の小さな子供に声を掛けただけなのだ。罪の無い人間を私は………………………………
ドドッ
「うっ……………………」
地面から突き出た尖った植物のようなもので忍達の胸は突き抜かれた。
「…………」
突然の出来事に唖然として立っていると、黒ゼツが呟いた。
「迷ッテイル暇ナド無イノダ。」
「………A……。もうすぐ陽が落ちるから急ごう。」
……ゼツは平気で罪のない人を殺した。今迄こうして何人も殺してきたのだろう。
オビトは………
今迄何人、人を殺してきたのかな
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作者名：いっちー | 作成日時：2017年8月17日 23時
