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ページ3

〔A〕



空港から真っ直ぐタクシーで病院に向かう。

あと少しで着くな、

なんてぼんやり考えていたら、

病院からバラバラという音と共に

青い空にヘリが飛び立つのが見える。



…なんて、タイミングの悪い



高度を上げて飛んで行くヘリを横目に

手早く会計を済ませ、

さほど大きくも無いキャリーケースを降ろす。

暫く考えて、さっさと挨拶した方がお互いの為だろう

と結論付けて足を進める。

人の合間を縫いながらフロア案内をチェック。

勿論足は止めずにキャリーケースを転がす。



この病院で、どんなオペが出来るんだろう。



『…少し、楽しみ。』





――――――――――――――――――――





思った通り、医局には誰もいない。

どうしたものかと考え込んでいたら、

ICUのモニターから不穏な音。



見えたモニターとナース達からは

良くない状況が読み取れて、

着いたばかりなのにな、なんて思いながら

キャリーケースを端に寄せ、軽く息を吐く。





駆け寄りながら止めに来るナースに医者だと告げる。

無駄な時間は作りたくない。

ICUにいる患者なら尚更。



『手早く状況を説明しろ。』

「この後心外でオペの予定の患者さんですが、
 胸が苦しいと…」



心臓、か。チラリと患者名を確認し、呼びかける。



『佐々木さん、聞こえますか。
 聞こえたら手を握ってください。』



僅かに反応有り、か。



『まずいな…心外に連絡。緊急オペの必要がある。
 ストレッチャー用意。』



多数の足音に振り向けば、青いスクラブ。

救命の人、だろう。

その中には橘先生もいて、軽い会釈だけで済ませる。

今は時間が無い。



ストレッチャー入ります!と鋭い声に

意識を切り替え、患者に向き直る。



『一番近い処置室は。』



誰にでもなく問い掛ければ、

状況を把握出来ている橘先生から



「うちのオペ室が空いてる。」

『緊急オペ行います。
 心外のドクター来るまで、入ります。』



患者を先導して運んで貰いつつ、地図を頭に叩き込む。



「すまないなA、来て早々。」

『…いえ。偶々居合わせたので。』





命を、救う。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月30日 9時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
再びこなみ - 17 遥→はるか (2018年8月16日 9時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ - 8 遥→はるか (2018年8月16日 9時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
東雲 昴流(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!ふと思い出して書き始めたので遅くなってしまうかと思いますが、頑張ります…! (2018年7月28日 19時) (レス) id: ad54c4129e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 続き楽しみにしております。 (2018年7月28日 17時) (レス) id: 15bef8530f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲 昴流 | 作成日時:2017年8月18日 1時

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