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第百十二訓 ページ18

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「今回はウチのミツバがご迷惑おかけしました。もしかして皆さんその制服は…真選組の方ですか。ならばミツバの弟さんのご友人….」

沖田「友達なんかじゃねーですよ」



蔵場さんの話を冷たい口調で遮るのは、先程まではいなかった総悟。まあ私が呼んだのだけれど。


ズンズンと蔵場さんの呼び掛けの声も無視し、迷うことなく土方さんの前で立ち止まった彼は「こんな所でお会いするたァ奇遇だなァ」と言い放つ。

憎ったらしく、わざとらしい声とは裏腹に総悟の目は真っ直ぐ前を見据え、瞳には薄っすら怒気が篭っていた。



沖田「どのツラ下げて姉上に会いに来れたんでィ」



発せられた彼の言葉が、目の前にいる土方さんに鋭くぶつかる。

二人が鉢合わせるとこうなる事は勿論理解していたが実姉が倒れたというのに彼に何も知らせないなど、私には出来なかった。



山崎「違うんです沖田さん!俺達はここに…ぶっ!」

土方「邪魔したな」



タバコを咥え黙ったままの土方さんに代わり、山崎が口火を切って総悟に話し出したが、それは土方さんの強めの蹴りで遮られてしまった。

出て行った二人と、取り残された私達。この気まずく残った空気の中、煎餅をバリバリ食べていられる旦那ほど、私のメンタルは強くない。


屋敷で安静にしているならミツバ姉も大丈夫だろう。そう思い、後のことは蔵場さんに任せ私もそろそろお暇しようとした時、グイッと袖口を引っ張られた。

崩れそうになった体を何とか立て直し後ろを振り返ると映ったのは、先程とは違う、不安そうに揺れる瞳。

らしくもない、そう思ってしまう程に。


何か言いたげな総悟を、少々戸惑いつつ、掴まれていない方の手で優しく撫でる。私は彼女のようにはなれない。気の利いた言葉一つも掛けてやることが出来ないし、安心させる優しい笑顔だって出来ない。

だから彼女の真似をして、こういう時(・・・・・)に彼女がしてくれていたように頭を撫でているが、果たしてこれには意味があるのか。

少しの間そうした後、手を払いのける訳でもなくされるがままだった総悟の頭をポンポンと軽く叩いて、今度こそ部屋を後にする。


手が麻痺しているのか、触った時の感触がまだ残っているが気にせず長い廊下を歩いて行く。柄にもないことはするものじゃない、小っ恥ずかしかっので私にしては良く出来た方なのでは、自分を褒めることにしよう。



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設定タグ:銀魂 , 原作沿い , 逆ハー   
作品ジャンル:アニメ
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クローバー - タイトルの第が大になっていますよ (2022年10月23日 19時) (レス) @page25 id: f7867713b9 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ミクさん» 洒落にならない数々のミス申し訳ありません。一通り目を通し修正してきました。ココがまだおかしい、という箇所がありましたらお手数ですがまた教えて頂けると幸いです。すみません。 (2021年8月5日 20時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
ミク - 時々、坂田「銀さんたぶらかして」みたいな感じになって最初の「の前の名前が違っていることがあります (2021年8月5日 13時) (レス) id: c0f1b840e0 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - MEIさん» ありがとうございます!テスト、なんとか終わりました!!テストお疲れ様です!2週間以上も前ですけど(笑) (2019年6月7日 7時) (レス) id: bb6b3491df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年5月12日 12時

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