私の事情と彼らの事情 ページ9
彼氏面したってなんでわざわざ、いやそりゃ確かにその方が違和感ないけどね?!
こんな美丈夫が彼氏とか烏滸がましいわと戦々恐々していると、濡れタオルを用意してくれた美丈夫さんが戻ってくる。彼は私の隣に腰掛け、そっとそれを私の目元に押し当てた。
あ、きもちい。慌てた気持ちがいい感じにクールダウンした。
「……お二人はどうして、そんなに目を掛けてくれるんですか?こんな…私の面倒事にまで自ら手を加えて」
「…まあ、何の説明もなく通すのも無理がありますかね。分かりました、私達の事情もご説明します」
私達の、事情。鬼灯さん達も訳ありだったってことかな?
美丈夫さんは私の隣に腰掛けたまま、時折私の目元にタオルを当てがってくれる。…この人はこの人で相当甲斐甲斐しいんだよなあ。
「まず、説明しやすいところから。私の名前は鬼灯、地獄にて閻魔大王の第一補佐官をしています」
「……だいいちほさかん」
…閻魔大王。
それらのインパクトの強いパワーワードに目を丸くしていると、今までずっとキャスケット帽を被っていた彼が帽子を取り去る。
…角だ。彼の額に、角が生えている。
「この度は、薬売りさんの貴方に対する予見で暫し貴方のことをマークしていました」
「くすりうりさん」
「俺のこと、ですよ。職業柄、そう呼ばれているもので」
「なるほど?」
ぱく、とご飯を再び口に入れ、もぐもぐと咀嚼する。
地獄、閻魔大王、鬼…本当にそういうのが存在するんだなあ。
「曰く。貴方を取り巻くものに悪しき兆し有り。このままではモノノ怪が発現する」
「もののけ」
「俺が生業の傍らで狩っているものです。実に、良くないものですよ」
「ほむ…そのきっかけのひとつが私だったってことですか?」
「物分かりが良いですね。そういうことです」
わざわざ狩る人が居るってことは、モノノ怪ってやっぱり、害のある存在なんだろうなあ。物理干渉の出来る悪霊、みたいな?
つまりは、こうか。そのモノノ怪を生み出しうるきっかけだった私を見張っていたら、やたら虚ろだし危なっかしいしで手を出さないわけにはいかなかったと。
「………本当に何から何までご迷惑をお掛けして…!」
「いいんですよ。それで亡者が減るなら容易いことです」
閻魔大王…って確か、地獄で死者を裁くもの、だったっけ。その秘書みたいな役割にあるなら、鬼灯さん相当に忙しい人だよなあ。
……そんな人がここで私の世話なんか焼いてていいのか?!
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雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです!薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました!!続き楽しみにしています! (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました!続き楽しみに待っています!とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました!!やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか!?本当こんな夢が見たかったのです!本当最の高!続きを、続きをお願いします!!! (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)
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