肝の据わり方が異常 ページ8
「………あれ」
ふと目を覚ましたとき、私はソファに横になっていた。なんかデジャブ。ソファに背を凭れて本を読んでいた美丈夫さんに先程の記憶が呼び覚まされ、私ははたと我に返った。
…そうだ私子供みたいに泣いて疲れて寝たんだ。まじ子供。
「ああ。目、覚めましたか」
美丈夫さんがやんわりとしたトーンで私に声を掛け、こちらを振り返って私の目元をそっと撫でる。
「…少し、腫れていますね。濡れタオルを用意しましょう」
「あ、いえそんな。放っておけば治りますよ」
「やればやっただけ、早く良くなる」
うぐ、それは確かに。
口籠もった私に美丈夫さんは小さく笑い、宥め賺すようにぽんと私の頭に手を乗せて立ち上がった。ソファから離れた彼を見送り、私はもぞりと上体を起こしてぼんやりする。
…ああ…初めて会社、サボったなあ。新人の頃から上司だったあの人に一目惚れして、嫌われないように必死で過ごしてたところ、あったもんなあ。もう何もかも今更だけど。
「おそようございます。」
「んんふ…おそようございます。」
お盆に何かを乗せて持ってきた鬼灯さんにそんな挨拶をされ、私はつい小さく笑いながら挨拶を返す。鬼灯さんたら、厳格そうな仏頂面してるくせに結構俗っぽいんだなあ。
意外と親しみやすい人だ、と彼を見上げていると、彼は私のところまで来て「どうぞ」と私にお盆を差し出した。
「…あ。味噌汁掛けご飯」
「貴方結局味噌汁だけ飲んでご飯に手を付けなかったでしょう。これだけでも食べちゃってください」
「そういえば…すいません、せっかく作ってくれたのに」
「いえ、そうなるだろうという予感はしてたので。貴方が食べなかった分は私がきっちりいただきました」
良く食べるなこの人。確かに体格細マッチョでわりとがたい良い人だけど、朝食の段階で二人分食べれちゃうの?
彼が用意してくれたご飯を受け取り、私はスプーンでもぐもぐそれをいただく。やっぱりこのお味噌汁美味しい。…鬼灯さんこういうのも平気な人なんだな。行儀に厳しい人って印象があったけど。
「会社への連絡も済ませてあります。まずは貯まりに貯まった有休を消化する形で」
「えっ…すいません、何から何まで」
「いえ、話を切り出したのはこちらですから。連絡の一本や二本苦じゃありませんし」
「でも……本人が電話しなかったから、何か言われたでしょう?」
「彼氏面したので特に何も」
「ちょ」
この人しれっと何言ってんの?!
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雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです!薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました!!続き楽しみにしています! (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました!続き楽しみに待っています!とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました!!やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか!?本当こんな夢が見たかったのです!本当最の高!続きを、続きをお願いします!!! (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)
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