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人、捨て。鬼、足る。 ページ40

「…A…A!」

「…んく、……わ、たし、」

「っ………心配させないでください…!」

「、…ご、ごめん…私、何が何やら、分かんなくて、」


どこか切羽詰まった顔をした灯にびっくりしてしまい、されるがまま彼の腕の中に抱き込まれる。…びっくりした…灯のあんな表情初めてだったから、尚更。


「……あ、れ?灯、角が…」


彼が被っていた帽子がどこかに行ってしまっている、どころか、彼の額に生えていたはずの角がない。疑問符を浮かべ、私は彼の額に手を伸ばした。

彼の額にひたりと触れるも、そこで触れたのは角のざらざらとした手触りではなく人の肌だった。正真正銘のおでこだ。…私は寝惚けているんだろうか。


「……気を失われる前のこと、覚えていますか?」

「ん…えと。寝惚けた状態で灯と碧に手を引かれて立ってて、それで…なんだか、凄く嫌な感じがして。無意識に上を見上げたら…ああ。黒くて大きくて、曖昧な…猫、が、」

「貴方は、喰われたんですよ。…化け猫(・・・)に」

「え…!」


言って視線を動かした灯に、私も釣られてそちらに目を向ける。

見れば、駅のホームは随分寂れて血塗られていた。中央には碧が難しい顔をして立っていて、それから何人かの女の子と、それに。私の妹と、元カレがいた。


「…これは…一体、どういう状況なの?」

「……モノノ怪が、現れた」


私の問いかけに答えたのは碧だった。

モノノ怪。碧から何度か聞いたことがある、アヤカシが自身の情や人の情に呑まれて変わるものだと。それを斬るのが碧の役目であるのだとも、聞いた。

モノノ怪を斬るには形と真と理が必要で、それを揃えなければ斬るために使う退魔の剣の鞘を抜くことは出来ず、碧にも手出しが出来ないと。


「……化け猫…モノノ怪の形は、分かったんだね……待って。…私はあれに喰われたって言ったよね?どうして私は生きてるの?」


ただの人間に、モノノ怪に勝る術はない。化け猫に喰われた事実がある以上、私は本来死んでいるはずだ。でも私はこうして灯と碧と同じ、現世にいる。

灯は少し視線を泳がせ、言いにくそうに、口を開いた。


「…私の鬼火を、貴方に分けたんです。」

「鬼火…そうか、だから一度死んだ私が生きていて、灯の角がなくなっているんだね?」


幼少期に死んだ灯…丁の死体に鬼火が入り鬼となった、という話は、わりと最初の頃に聞いたことだ。

器に同じだけの鬼火を蓄え。→←悪意は幸福の最中に襲いかかる。



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雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです!薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました!!続き楽しみにしています! (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました!続き楽しみに待っています!とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました!!やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか!?本当こんな夢が見たかったのです!本当最の高!続きを、続きをお願いします!!! (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一般人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月4日 17時

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