なんかセコムがつきました。

ありとあらゆる愛という愛を。 ページ35

「………んんふ…あの、なんでこういう話になったんだっけ？」

「そりゃあ、お前が自分ばっかり俺達のことを好いている、なんて勘違いをしているから。」

「あ…だ、だって。二人みたいな美丈夫が私を好きになるなんてあり得ないって、…そんな前提が出来てたから、…つい…」

「私達の気持ち、解っていただけました？」

「そりゃあ、もう…恥ずかしくなっちゃうくらいに…。」


そもそも二人が私に好意を持ってくれているとは思わなかったし、その上で告白してくれるほど求めてくれるだなんて想像もしてなかったし。

私が元気になったら永久の別れだと、二度と会えないのを前提に私は行動していたのだ。それがまさか、こう、なるとは。


「もう吹っ切ってはっちゃけちゃってくださいよ。今までの貴方の我が儘なんて我が儘の内に入りませんから、この際もっと強欲に。」

「努力はするけど無茶言うよね…」

「貴方は自分の欲に忠実になって溌剌としている方が可愛いんですよ」

「ん゛んっ」

「そうじゃない貴方が可愛くないわけじゃありませんが、心配になります」


うわああああ！！ただでさえ私にデレてた灯がもっと私にデレてきてるよおお！

物凄く可愛いんだけどこんな頻度で灯みたいな仏頂面の堅物に甘やかされていたら私の心臓がもちません…！碧も灯も私を殺しに掛かっている！


「……じゃあ、まず一個。」

「どうぞ。」

「灯に呼び捨ててほしい」

「、…呼び捨て、ですか？」

「うん。ずっと気になってて」


Aさん、とか碧さん、とか、もうそれなりに仲良くなってるはずなのにいつまでも彼のさん付けはそのままで。それが結構引っかかっていたのだ。

灯が嫌だと言うならそれ以上押し付けるつもりもないけれど、一度彼がそれに関してどう思っているのかを聞いてみたかったのだ。…彼のことだから無意識の可能性もあるけれど。


「…私のこれは、昔からの口癖で」

「うん。だからこそ呼び捨ててほしくて…あ、や、嫌だったら無理しなくていいからね？あわよくばって話だから、それはそれで全然」

「………〜〜〜……」

「……灯の頭をここまで悩ませられるお人も珍しい」

「えっ、あれ？！」


なんでや私気にせらんでいいやでって言ったんに！

私の配慮がイマイチ伝わってくれない、とおろおろしていると、灯が大きなため息を吐き出して私に目を向けた。

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