他人の目など知ったことかと ページ34
碧は取り乱す私にくつくつ笑い、ふと灯に視線をやって、まるで挑発するようににやりと笑う。珍しい笑みだと他人事のように眺めていると、くい、と灯に腕を引かれた。
今度は何だと灯に目を向けると、何の対抗意識か彼は私の逆目尻の涙をべろりと舐めた。それはもう、それこそ鬼のようにべろりと。心臓がもたないからやめてほしい!
「っ…もー!変に張り合わないでよ、今一応真面目な話してたじゃん!」
「ああ。忘れてた」
「私達がしてた話ってそういう感じの内容だったっけ?!」
「はは、冗談、冗談。ちゃんと覚えてる」
「〜〜〜…お茶目か!」
くう、碧ってば意外と強かなんだから…ぶっちゃけそんなところも魅力的なんだけど…。
「難しい話じゃないさ。恋人じゃなくて“家族”になればいい」
「……家族?」
「そうだ。情愛で有り、敬愛で有り、友愛で有り、親愛で有り…愛という愛を引っくるめて注ぎ合うような、そんな際限のない関係になればいい」
「幸い、情愛だけでは
私を狙うような獣の鋭い眼差しをする二人に目を丸くする。けれど数瞬の後、ぞくぞくと背筋が震えて笑みが零れた。
ずっと物足りないと思ってた。あれだけ甘やかされて一緒に居てもらっておいて、それでもすぐ別れるんだって自制しているフリをしながら。
私で楽しんでくれるならそれはとても嬉しいし、私ももっと彼らと一緒に居てもっと彼らにはまり込んでしまいたかった。
「…私と、ずっと一緒に居てくれるの?」
「我々には役目がありますから、四六時中、とはいきません。」
「だが…お前がそうと望み受け入れてくれるなら。これからはここが、俺達の帰る場所だ」
ああ。
貴方達が帰ってきてくれるなら、それで、いい。
二人の背中にぎゅうと腕を回してしがみつけば、二人の手が私の髪を撫で梳いてくれる。
二人の唇が私の目元に触れ、キスをひとつ。どきどきして恋しくて堪らなくて、私も二人の目元にキスを返した。
「…もう、私、二人と一緒に居られるなら悪女でいい。とびっきりの悪女になってやる」
「どんなに頑張っても、貴方じゃ本当の悪女にはなれませんよ」
「む」
「ふ…まあ、Aが悪女らしく振る舞ってるのもさぞ可愛かろう」
「ふふ、可愛いは言い過ぎ。」
「いやいや…素のお前を知っているからこそ、頑張っているのが分かるのさ」
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雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです!薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました!!続き楽しみにしています! (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました!続き楽しみに待っています!とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました!!やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか!?本当こんな夢が見たかったのです!本当最の高!続きを、続きをお願いします!!! (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)
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