彼らは何故か私の為に。 ページ4
私の、スマホだ。表示されているのはLINEアプリの元婚約者とのトーク、…そこに書き連ねられた私に対する罵詈雑言。
「どれもこれも何のアカウントも、貴方が悪であると糾弾する内容ばかり。ただ…悪人を見ることの多い職業柄、俺には、貴方が悪人だとはとても思えません」
きっぱりとそう言い切った初対面のはずの彼に、私は目を丸くした。悪人を見ることの多い職業…彼はお巡りさんか何かをしているんだろうか。
「貴方は悪人が出来るほど器用な人間には思えない。むしろ悪人に振り回される被害者に見える」
「…でも、私はそうやって色んな人に、」
「そもそも。貴方が本当に悪人だったとするなら、記憶が飛ぶほど憔悴することなんてないんですよ。それも…初めてじゃないでしょう、そうなるの。」
追い打ちを掛けるように鬼灯さんもそう畳みかけてくる。彼らの考察にぐうの音も出なくて私は口を噤む。
鬼灯さんはため息をひとつ、次いで言葉を発した。
「昨日の記憶が飛んでいるというのに、冷静すぎるんです。貴方がするのは私達の心配ばかりで、自身のあれそれを度外視している」
「…だって、私はお二人に迷惑を掛けて、」
「悪人は他人に迷惑を掛けたからとそこまで反省することはしません。」
ぴしゃりと一喝するような鬼灯さんの意見に、私は反射的に肩を竦める。そうすると、美丈夫さんがぺしり、裏手で鬼灯さんの肩を叩いた。
鬼灯さんが眉を顰めて彼に目を向けるも、美丈夫さんは既に私に視線を向けている。
「…貴方がそうなってしまった、“訳”。話していただくことは、叶いませんか？」
「…でも、それを話せば私はもっと二人に迷惑を掛けちゃう」
「迷惑だなんて、思っちゃいませんよ。話したくない貴方に、話してくれと詰め寄っているのは…他ならぬ、俺達です」
「でも、」
「率直に言います。私達は貴方が放っておけないんですよ」
迷惑だ何だ、なんて今更です。
それが嫌なら昨日の段階で貴方の手を振り払って帰ることも出来たんですから、と鬼灯さんが至極当然なことを言ってのけた。
……彼らは、私の世話を焼きたくてここにいるんだろうか。よくよく考えれば、昨日私に付き合ってくれたって言っても、今日のこの時間まで一緒に居る必要は彼らにはない。しかもわざわざ私の分の食事まで作って一緒に食卓を囲んで。
考えれば分かることだった。世話焼き以外の何物でもない。
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雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (
レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです！薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました！！続き楽しみにしています！ (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました！続き楽しみに待っています！とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました！！やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか！？本当こんな夢が見たかったのです！本当最の高！続きを、続きをお願いします！！！ (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)
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