なんかセコムがつきました。

夜道の守人 ページ26

「あ、意外と暗くなってる。」

「そりゃあそうさ。もうそれなりの時間になる」

「ん…あ、ほんとだ。もう七時だったんだ」


そりゃ暗くなってるか、としみじみ。冬は殊更暗くなるの早いからなあ。

碧がついてきてくれて良かったかも、と隣を歩く彼に目を向ける。“普段”はあの藤色の頭巾で髪を纏めているという彼も、私の隣にいるときはいつも頭巾を外してその綺麗な髪を露わにしていた。

昼は日の光を跳ねてきらきら輝くそれは、夜は街灯の光を受けて淡く光る。この人どう足掻いても綺麗だなあと感嘆をひとつ。


「足元気を付けて。夜道はアヤカシの領分だ」

「アヤカシ…確か、妖怪のことだったよね？化け猫とか、座敷童とか」

「そう、そう。それから…夜は形も朧気なおばけが活性化する時間帯でもある。」


俺の傍から離れないように、と碧を私の指に指を絡める。ふわと柔らかく微笑んだ彼に、私はクリティカルダメージを受けた。

んんん行動の端々に色気が迸るぅ！イケメンだ何だって言うか根本的に“美丈夫”なんだよこの人！彼の色気に耐性が付かない！

そのくせ雪見大福とかそういうの食べてるとこ見るとなんか可愛いんだよ…所作淑やかで控えめだから尚更…！


「んんふ…コンビニに行くだけとは思えないセコムっぷり…」

「用心しておくに越したことはない。あちらさんにそんなことは関係ないからな」

「ん…確かに。よろしくお願いします」

「はい、よろしくどうぞ。ふふ…灯が心配して迎えに来る前に早いとこ買うもん買って帰ろう」

「はーいっ」


アイスと、飲み物と、後はクッキーとかチョコレートとか。

灯の飲み物ってーとお茶かなあ。カルピスとかオレンジジュースとかも意外と飲むからそういうのでもいいかも。コーヒーは好んで飲まないけど、紅茶も飲むなら番茶とかだし。

碧は結構紅茶党。紅茶だったら甘いのも苦いのも飲む。コーヒーは甘いのしか飲まない。変わり種はイマイチ。あとはココアとかチョコレート系。


コンビニに到着して早々碧が注目を集めた。流石美丈夫、罪深い。相乗的に私が嫉妬の的になるのは最早自然の摂理である…慣れたけど。彼らと出掛けるとそうならないことないもんなあ。

買い物カゴを持って買うつもりだったあれそれをぽいぽい放り込んでいく。一人だと味もしなかった食事が彼らと一緒だと美味しく感じるんだから、私は現金な人間なんだとしみじみ理解した。

彼らと一緒だと、何もかもが楽しい。

久しぶり。会いたくなかった。→←大丈夫、解ってる。

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