大丈夫、解ってる。 ページ25
「…依存性の伴わない愛なんて存在しませんよ」
「、………そう思う?」
「貴方が婚約者を寝取られて憔悴したのはそういうことです。その人でなければ駄目だと思うのは、依存ではないのですか?」
「………へへへ。だったら、私が二人に向けるこの気持ちも、ひとつの愛なのかもね。」
ライクより重いのは確かかな!と戯けてみせれば、灯と碧がじっと私を見つめる。
彼らのその振る舞いが繕われたものだったにせよ、その気持ちを今更修正することは出来ないしはっきり言って修正する気もない。
彼らが私にしてくれたあれそれが、演技だったとも思えなかったから。
「…じゃあ、聞きますけど。Aさん、私とキスできます?」
「多分心臓破裂するけど出来る」
「地獄じゃないんだからやめてくださいよそういうの。…じゃあ碧さんには?」
「以下同文。…でも私元々スキンシップ好きな方だから、一回やったら癖になっちゃうかもなあ」
「恥じらいないですねえ」
「伝え損ねるのは嫌いなの。後悔したくないしね」
大丈夫だと思ってたら大丈夫じゃなかった前科もあるし、と灰皿の中に写真を捨てる。ため息をひとつ、碧の肩に凭れた。
…別れたくないな。でも、きっと彼らは行っちゃうんだろうな。縋ったところで意味がないことは想像出来た、彼らには役目があるから。
吹っ切らなきゃなあ。
「……んー!コンビニ行ってこよ」
「そんじゃあ、俺もお供しようかね」
「んふふ…私一人でも大丈夫だよ?」
「まあまあ、そう言わずに。」
私がどこかに出掛けようかと思えば、どちらかは必ずついてくる。
過保護だなあとか面倒見が良いなあとか、歩くセコムだな、なんて思っちゃったりして。それを嬉しいと思っちゃうんだから私ももう手遅れなんだけど。
お揃いのカーディガンを羽織って立ち上がり、ふと灯を見下ろす。
「雪見大福か何か買ってくる?」
「ふむ…今日はパピコの気分ですね」
「あ、いいねえ。私もパピコ買ってこよう」
灯みたいな仏頂面がパピコwっていうのは、わりと今更な話だ。
彼は意外と甘味を食べる、ケーキとかって言うよりは餡蜜とか、そういうちょっとしたもの。シュークリームとかエクレアは結構食べるけど、基本的に胸焼けする量のある甘味を好まないらしい。
こうやってアイスを買って食べるときは同じものを買うんだけれど、二つセットのものを買うときは大体私と碧とで半分こして、灯は一人で二つをぺろりと食べるのだ。
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雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです!薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました!!続き楽しみにしています! (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました!続き楽しみに待っています!とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました!!やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか!?本当こんな夢が見たかったのです!本当最の高!続きを、続きをお願いします!!! (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)
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