恐怖心と安心感のせめぎ合い ページ16
結局猫のカーディガンとお揃いの黒のカーディガン、あとは必要な分だけの衣類を買い揃えて買い物を終える。荷物は何故か当たり前のように鬼灯さんが持ってくれる…この人根っからの紳士なの？
未だに鬼灯さんも碧も私と手を繋いだままだし、と私は二人に手を引かれて歩きながら物思いに耽る。なんかこう、失礼だけどお父さんとお母さんに手を引かれてるっぽい。鬼灯さんはともかく碧に対して大分失礼です。ごめんなさい。
「あとは日用品等々の雑貨ですね。持ち合わせは大丈夫ですか？」
「ん、ぁ。全然余裕」
「それは頼もしい。だったらもっと肉を付けなさい」
「へ？」
「確かに…Aはちと痩せすぎだ。夕食もさして食べていなかったんだろう？」
「ぁー…まあ、確かに仕事から帰ってきてからはひたすら寝てるから…」
「私の上司に貴方の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいですよ。」
……鬼灯さんの上司って言ったら、やっぱり閻魔大王、だよね？なんだか改めてそういう発言聞くと凄いなあ。そしてその発言ってことはやっぱり閻魔大王って恰幅が良い人なんだろうか、話の流れ的に。
もっと地獄にまつわるエピソードとか聞いてみたいなあと考えていると、不意に聞こえた女の声にびくりと肩を竦めた。この、声は。前から聞こえたその声に腰が引けてしまうと、それに気付いた二人が私を振り向く。
「…Aさん？」
「…何か、あったのか。」
「……妹の、声、」
どうして、普通だったらあの子は普通に就業中のはずなのにどうしてこの時間にここにあの子が居るの。
今すぐこの場から逃げ出したい気持ちに駆られたけれど、鬼灯さんの手が私を引き留めてそれを許さなかった。
「鬼灯さん、やだ、」
「Aさん、もう貴方には彼女を恐れる理由はないんです。貴方は何もしていない、貴方はあの会社を辞める、彼女達が住んでいた部屋も最早私達のものです。」
彼女に入り込む隙はありません、と鬼灯さんが私の手を力強く握って言い聞かせるように私の目を見つめて言う。
でも、と私が尻込みすると、今度は碧が私を見て口を開いた。
「大丈夫。お前のことは、俺達が守る」
「、…私を、嫌いにならないで…！」
二人にまで嫌われてしまったら、私には誰も居なくなってしまう！
二人は私の手を握り締め、私のこめかみにキスをした。
「無用の心配はしなくて結構。」
「俺達がこれまでの男達と
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪猫と葛(プロフ) - とても面白くて楽しく読ませていただきました(*≧∀≦*)続きが気になって夜しか眠れないです(。・ω・。) (2020年2月11日 19時) (
レス) id: 5feb56ae02 (このIDを非表示/違反報告)
月切 蛍(プロフ) - とっても面白いです！薬売りさんをこれで知ってはまってしまいました！！続き楽しみにしています！ (2020年1月11日 18時) (レス) id: 34c99d5432 (このIDを非表示/違反報告)
ハイサネ(プロフ) - 前にも読ませて頂いており、また見に来てしまいました！続き楽しみに待っています！とても寒くなって参りましたのでお身体ご自愛下さいませ。 (2019年11月30日 13時) (レス) id: 31f88b5e8c (このIDを非表示/違反報告)
來蝶 - 一年程前に読ませて頂いて、また萌えを補給しに戻って参りました！！やべぇ尊い……鬼灯様も薬売りさんも大好きだけど、この夢主ちゃん好きです……… (2019年8月21日 23時) (レス) id: 561cea3de8 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - アナタ神ですか！？本当こんな夢が見たかったのです！本当最の高！続きを、続きをお願いします！！！ (2019年8月19日 22時) (レス) id: 9ee472f10b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
