なんかセコムがつきました。

良ければ私を見ていてください ページ11

とりあえず味噌汁掛けご飯を食べ終えて、両手を合わせてごちそうさま。

最初から最後まで美味しかった、と満足感に満たされながらお腹を撫で擦っていると、ふと、玄関への廊下にゴミが入っているらしいビニール袋が三つも四つも並んでいた。


「……あの、アレは？」

「ゴミです。然るべき曜日に集積所に捨てに行ってきます」


あ、そんなことまでやってくれるの？

……あれ、ゴミ袋の中に入ってるの、多分ー…妹の、私物だと思うんだけどな？まあ本人ももうどうせ取りに来ないだろうから、捨てちゃってもいいっちゃいいんだろうけど。


「………片付けたんですか？」

「片付けました。気分爽快です」


正直だなあこの人。

どこまで片付けたんだろうかと部屋の様子を見れば、綺麗さっっっっぱり無くなってた。正真正銘の空き部屋になってた。元婚約者の部屋も同様に。

…私が二度寝しちゃってからまだ二時間しか経ってないのに…手が早いんだな鬼灯さん…。


「これから私達が住む部屋なのに、あんなのが置かれてちゃ不愉快なんですよ。ただでさえ匂いも部屋に染みついてるし、片付けるのは早ければ早いほうがいいです」

「や、まあ…異論は無いんですけど。使えそうなものとか使っちゃって良かったのに」

「嫌ですよ。そんな連中が使ってたものなんて使いたくありません」


うーん、手厳しい。鬼灯さん、私の話を聞いて相当あの二人を毛嫌いしたみたいだなあ。私を被害者だと考えているなら、確かに加害者を嫌うのなんて至極当然のことではあるんだけど。

換気までばっちり行っている辺り本気で匂いまで不愉快だと感じているらしい。


「……時に、Aさん。」

「、はい。何でしょう薬売りさん」

「俺達、本当にこの部屋に住んじまって良いんで？」

「え、ああ…その必要があるなら使ってもらって全然構いませんよ。どうせ私は使わないし、かといってそのまま使わないでいるのも勿体ないので」


鬼灯さんがその気で居るから話が纏まっているのかと思ったら、そういうわけでもなかったのか。別に気にしないで使ってくれて良いのに。

…無意識の状態で私が“一人にしないで”って言ったなら、多分それは私の本心というやつだろうし。彼らに優しくしてもらえるのは、素直に嬉しいし。


「…むしろ、お二方が良いなら、是非お願いします。」


今の私には、お二人しかいないから。

私に優しくしてくれる知人は二人だけ。私を知っている人はみんなあの子を選んだから。

着せ替え人形は楽しいものだ→←放っておいたら死ぬレベル

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