不思議な人 ページ4
「…あれ、そういえば牛島くんはどうしてここに?ジャージ着てるから部活途中なんじゃ…」
「今日は珍しく休みだ。外をランニングして、学校に忘れ物をしたのを思い出して取りに帰ってきた。」
牛島くんでも忘れ物するんだ。
「そうなんだね。…そっか、この教室3年の教室を結ぶ廊下のすぐそこだもんね。」
「そうだ。ここ一帯窓は閉まっているはずだが、風が吹いてきたからな。気になった。」
「牛島くん、気になることがあってもスルーするタイプだと思ってた…」
「何故だ?」
唐突な質問に私は詰まってしまった。まさか何故だ?で返されるなんて思わない。
そうか。で終わりなのかと思っていた。
「えっ、それは……」
この言葉が牛島くんを怒らせてしまっていたらどうしよう。
「何でだろう…バレー以外にはあまり興味がなさそうに見えるからかな…」
「そうか…」
その時の牛島くんの顔は、少し悲しそうに見えた。私、嫌な事言っちゃった。
「ご、ごめんね!私、牛島くんの気持ちも知らないで…」
「気にしていない。よく言われるからな」
よく言われちゃうの…??でも結局その人達と同じ事をしたんだ。牛島くんだってロボットじゃない。こんな事言われたら私なら何日か気持ちは沈むかもしれない。
「でも本当にごめんね…嫌な奴だよね」
「藤兎は嫌な奴では無いと思うぞ」
牛島くんは不思議な人だ。表情は変わらずにその言葉を言うけど、何となく感情は伝わってくる気がする。不器用だけど優しい人っていう感じだ。
悲しそうだった顔はいつも通りに戻り、私にそんな言葉をかけてくれる。うん。不思議だけど素敵な人だ。
「牛島くんって、不思議な人だね」
「不思議?俺は普通だと思うが。」
それを言うあたり、やっぱり不思議だ。
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作者名:矢風 | 作成日時:2019年9月30日 22時