検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:9,068 hit

ページ23

イラつきを含んだ声に、ふくろうは少しだけ笑う。


「君は、本当に優しいね」

「はぐらかさないで。あんたも私も、政府を恨んでる。白紙の文学書での実験に巻き込まれただけなのに、今もさんざん利用されて、皆殺しにしたいくらいに。なのにあんたは、私にまで罪悪感を感じてる。それで、乱歩さんからの告白をはぐらかして、断ろうとしてる。ほんとにさぁ、バカじゃないの?」

「ばかって2回云ったね」

「もう何回でも云ってやるよ。バカバカバカバカバカバカバカバカバカばぁぁぁぁか!!!!!!あほ!おたんこなす!!すっとこどっこい!!ななしのごんべえ!!!!」


勢いのまま立ち上がり、暴言の限りを尽くす影に、『くすくす』とふくろうから笑みが漏れる。


「ボキャブラリー、乏しくないかい?」

「うるさい!!あーもう!!」


乱暴に椅子に座り、肘をついてふくろうを見つめる。


「私はさ、あんたみたいに頭は良くない。勉強も嫌いだし、本だって、漫画ばっかり読んでる。でも、いろんな経験をしてきた。漫画でだって、学ぶことはたくさんあった。善悪の判断は間違えないつもりだし、恨むべき相手をちゃんと恨んでる。それに、私は、全てのことに『理由』があると思ってる。一見理由がない、不条理で、非合理で、理不尽な事象にも」

「……」

「私がこの世界に呼ばれたことも、最初の一瞬を除いて、貴方という人格ができたことにも、きっと理由がある。それは、この世界を守るためだって信じてる」

「……」

「私が最初に『江戸川乱歩』という名探偵がいるって、貴方に伝えたのは、貴方がこの世界で生きたくないのかと思ったからだよ。何も知らない世界で、誰の物かもわからない体で、『私』という他人の声が聞こえてくる薄気味悪い状態で、政府に縛られたまま、この先の一生を過ごしたくないのかと思ったから、きっと帰る方法を教えてくれる乱歩さんのことを伝えた。私が、貴方が持ってる私の体を返してほしかったわけじゃない。そんなこと、微塵も思ってない」


影は『はー』とため息をつきながら、背もたれに身体を投げ出す。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:文スト , 文豪ストレイドッグス , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あき | 作者ホームページ:http://http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/  
作成日時:2021年4月24日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。