【デュラララ！！】帝人の妹、池袋に現れる３

妹、脱出する ページ27

ガタゴトと周りに積み重ねられているものが揺れた直後、私たちの頭上に黒いバイクに跨ったセルティさんが現れた。



杏「セルティさん!!」


セ『事情は後でね。逃げるよ。後ろに乗って』


杏「あ、Aちゃんは」



黒バイクに跨ったあと、杏里さんが私に手を差し伸べてきた。


けれど、私はそれに首を振る。



セ『Aちゃん、乗らなくていいのか？』


A「はい。今見つかると大変なのは杏里さんだけですから」



フードをかぶったまま、上を向いて喋る。



セ『本当にいいんだな？』


A「杏里さんを頼みます!」



私の言葉にセルティさんは頷いて、杏里さんに何かの文を見せたあと走り去っていた。


うまく逃げきれるといいんだけれど。


先ほどまでいた隙間を出て、壁であった簀子のようなものの上に立つ。


でも私がそこで見たのは、首なし馬の後ろに罪歌を持った杏里さんの姿だった。


騒がしかった黄巾賊の人たちも静かになる。



A「逃げよう」



呆然と立ち尽くす黄巾賊の死角を通って、その場をあとにする。


雨のせいで空は驚く程に暗い色をしていた。




〈チャットルーム〉



―――佐藤愛さんが入室しました



甘楽《こんばんわー》


佐藤愛〔こんばんわ〕


甘楽《さっきまで田中太郎さんもいたんですけどね〜》


甘楽《もう寝ちゃいましたよ〜》


佐藤愛〔そうですか〕


甘楽《今日はみなさん来ないんですかね》


佐藤愛〔どうなんでしょうか〕




〈内緒モード〉



甘楽《あーあ、てっきり君の方から内緒モードで話しかけてくるかと思ったんだけど》


甘楽《俺の筋違いかな》





佐藤愛〔はぁ、今日は疲れましたよ〜〕


甘楽《何かあったんですか？》


佐藤愛〔ええ。ちょっと調べ物をしてたんですけど、〕


佐藤愛〔黄巾賊の人に声をかけられて、びっくりして逃げっちゃったんですよｗ〕


甘楽《へぇー》


甘楽《それは大変でしたね》


佐藤愛〔でも、ダラーズと抗争になったりするのはもっと嫌ですけどねっ〕


甘楽《確かにそうですねー》






甘楽《俺のことは無視？》


佐藤愛〔無視をしてみたい年頃なんですよ〕


甘楽《そうか。まだ中学生だからね》


佐藤愛〔怒ってます？〕


甘楽《別に？》


佐藤愛〔今日、黄巾賊を見てきましたよ〕


甘楽《へぇ、面白いものでも見れた？》


佐藤愛〔さあ、ご想像にお任せします〕


佐藤愛〔まあ、臨也さんならそのくらいわかると思いますけど〕

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