ニンニクの香り 一 ページ26
『変身術』の授業の後、Aは話を聞いていた三人になんとか土御門に関する弁明をした(何故か其処にダフネ・グリーングラスが加わっていたが)。
仕事の腕は日本一だとか、顔がいいとか、生まれながらに持っている能力だとか、Aと土御門の昔の話など、その他諸々を急かされて語る。
「良いなぁ、美男子に魔法を教えてもらえるの」
「あんたねぇ、いろいろ聞かせてもらった挙句に、出てくる感想はそれなの」
「アリスも気になるでしょ？」
「いや、まあ、多少は……」
ダフネの可愛らしい感想に、アリスは突っ込みを入れるがタジタジだった。
Aはそんな女の子らしい二人を見ながら、Aと土御門、そして今頃は休暇を楽しんでいるであろう使用人の姿を思い浮かべる。
……なんか、顔のいい男共しかいない。
一方でドラコとセオドールはと言うと、土御門とAの武勇伝やら何やらで盛り上がっていた。
＊
「ちょっと憂鬱ね」
そうアリスが口にしたのは、『闇の魔術に対する防衛術』の為に教室に向かっている途中だった。
例の如く、その教室には初めて向かうので、Aとアリスは他の人よりも早めに移動を始めていた。
「如何して？ 他の子は皆待ち望んでいた様に思えたけど」
「授業自体は楽しみよ。でもほら、クィレル先生はニンニクの匂いがぷんぷんするじゃない……」
「……確かに、そうだね」
最も、Aに取ってはぷんぷん臭うどころか、クィレルが近くにいると鼻が痛くなるくらい臭うのだが……。こう言う時ばかりは、自分の鼻の良さを恨んでしまいそうだ。
まぁでも、その程度なら我慢できるし……。
と足を進めていたAだが、ふと、ピタリと足を止めた。
「A、如何したのよ？」
アリスが呼びかけてみるも、Aは反応しない。よく顔を見てみると、Aの顔は真っ青になっている。
「ど、如何したのよ？」
アリスが再び問いかけると、Aは震える唇で「ニンニク、匂い、臭い」と呟いた。
スン、と辺りの匂いを嗅いでみる。確かにニンニクの匂いがするが、顔を真っ青にするほどでもない。
しかし、Aにはあまりにもダイレクトに匂いが伝わりすぎて、最早吐く一歩手前まで来ている。きっと、教室内は普段のクィレルの比じゃないくらいにニンニクの香りで溢れかえっているのだろう。
其処まで想像すると、もう我慢出来なかった。
Aはトイレへと走っていった。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
