ニンニクの香り 二 ページ27
アリスは一人ポツンと廊下に立っていた。彼女の目の前には、Aが廊下を走り去る前に落としていった授業の用意が散らばっている。
暫くポカンとしていたが、やがてそれを拾い上げて抱え上げると、Aの後を追って走り出した。
「カータウェイ、何してるんだ。もう直ぐ授業が始まるだろ」
ドラコとセオドール、ダフネにパーキンソン。男子二人は犬猿の仲であるアリスとパーキンソンが顔を合わせたのにハラハラとしていたが、アリスは今は彼女のことが見えないのか、ドラコに授業の用意をを全て預けた。
「……！ おい、お前」
「丁度良い所に来たわね！ 先生に遅れるかもしれないって伝言をお願い！ ついでに席も取っておいて頂戴！」
言うなり、アリスは再び教室とは反対の方へと走っていった。
「何よ、あれ」
「さあ……」
呆然と呟く女子を他所に、ドラコとセオドールは預けられた荷物を眺める。
「……『A・A』？ Aは如何したんだ？」
「さあな。取り敢えず、重いだろ？ カータウェイのは俺が持つよ」
「悪いな」
ドラコは預けられた荷物にAのものがあったのに訝しげな表情をしたが、取り敢えずはセオドールにアリスの荷物を預けて、再び歩き出した。
＊
「アリス・カータウェイ」
廊下を走っていたアリスは、低い声に呼び止められた。振り返ると、寮監のスネイプがいつもの様に眉間を寄せている。
「Aは如何した？」
「Aなら、『防衛術』の教室へ向かう途中に走り去りましたよ。私はそれを追いかけている途中です。ニンニクが如何こう言っていたので、多分トイレで今頃吐いているのでは、と」
スネイプは其れを聞くと「矢張りな」と言いつつため息をついた。アリスとしては、Aが心配なので早々に立ち去りたかったが、まだスネイプからその許可を取れていない。
もどかしく思っている間に、スネイプは懐から小瓶を取り出してアリスに差し出した。中に入っている錠剤の様なものが、可愛らしい音を立てた。
「Aにこれを渡してやってくれるかね」
「えぇ、はい。……あの、これは？」
「彼女は他の人間に比べると随分と鼻が効く。クィレルの授業は到底正気で受けられないでしょうな。……その薬は、飲めば一定時間鼻が効き難くなるものだ」
アリスが受け取るのを見届けると、スネイプは何も言わずに立ち去った。
アリスはAがいるであろうトイレへと向かった。
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息抜き(プロフ) - 真昼さん» コメント有難う御座います！ 良いですよねぇ、ハリポタとチェンソーマン。 (2023年1月12日 22時) (
レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 好きな物語がクロスオーバーされていて、嬉しかったです！ (2023年1月12日 17時) (レス) id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：息抜き | 作成日時：2022年12月17日 17時
