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#06 ページ7

✽✽✽


彼女が浦原商店(ここ)を訪れるようになって数年。未だに彼女の口から、何の目的でここに足を運ぶのか聞いたことはない。
アタシも空座町(ここ)に店を構えて長いっスけど、駐在任務以外の死神が足繁く通うのも珍しい。
そもそも駐在任務以外で現世に来るなんてよっぽどの事情がない限り有り得ないはず。しかも見たところ彼女は一般隊士、良くても下位の席官といったところだろう。

まあ、向こうが干渉してこない以上こちらから話を振るのもどうなのか。そう思っていたら何も聞けず、ズルズルと寝床を提供するだけの都合のいい店になってしまったのは少々誤算だった。


午前八時を回る頃彼女に貸した部屋を訪れた。人の気配などとっくに無く、随分と前に霊圧が消えていることも分かっていたが。

「入りますよー」

空虚に向かって声を掛ける、なんて無駄な行為も一連の流れに組み込まれている。
部屋に入ると相も変わらずこれでもかと丁寧に畳まれた布団が目に入り、思わずため息が溢れてしまう。彼女は布団を使っていないことがバレていないとでも思っているのか。それとも分かっている上で、わざとらしく見せつけているのか。
どちらにせよからかわれているとしか思えない。


今夜、もしまた店に来たら思いきって尋ねてみようか。
何の目的があって現世に来るのか。何故アタシの店に立ち寄るのか。
正直答えが返ってくるとは思えないが、いい加減都合の良い使われ方をされるのも終わりにしたい。

ここまで思案したところでふと思った。今更だが、彼女について知っていることなんて殆ど無いに等しいことに気が付いた。
知っていることといえば、彼女の名字と店の商品の駄菓子が気になっていそうである事、あとは夜眠っていないであろう事。そんな些細な事しか知らなかった。
何番隊の隊士なのか、斬魄刀は浅打ではなさそうだが既に固有の能力はあるのか。死神であること以外、ここら辺も全く分からない。

特段気になるかと言われればそうでもないのだが、これだけ顔を合わせているというのに何も知らなすぎる。
まァ、会話という会話をしたこともそれほど多くない。そう考えると大して不思議な話ではなかった。

「向こうはアタシ達の正体(こと)、どこまで知っているんスかね」

知らないでいてくれた方が色々と楽だが、果たしてどうだろうか。

とにかく、今日も店を開けないと。来客は彼女だけではない。
また夜になるまで。それまで彼女の事は忘れておきましょう。

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ぎるたん - シグさん» お返事遅くなりすみません。 コメントありがとうございます。浦原さん選んで良かったなと思いました笑。 完結まで頑張りたいと思います! (2020年4月20日 1時) (レス) id: abc690efab (このIDを非表示/違反報告)
シグ - 面白いですね!?僕は浦原さん好きなので…応援してます!頑張ってください! (2020年4月17日 19時) (レス) id: b759b643e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぎるたん | 作成日時:2020年4月13日 1時

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