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#05 ページ6

自分の心象世界とはいえ、やはり自分自身の事など分からないことだらけなんだな。
チクリと胸に痛みを感じたが、気付かない振りをして暗闇に背を向けた。

見上げればこちらを見下ろす夜光と視線が絡まる。目は口ほどに物を言うとはこの事で、こいつの考えている事はなんとなく分かる。
行かせない、力が足りない、心が弱い、信用出来ない。大まかにこんなものだろう。
どれも分かる。最初を除いて自分で自覚していることばかりだ。力が足りないが故に自分の力を信じられず、それ故に今でも逃げ続けている事がある。

私は、弱いんだ。

視線を反らし、目の前の烏に告げる。

「……帰るよ」
「暇潰しは終わりか」
「もう日が昇る」

少々の間の後、ハァと盛大な溜息が頭上から降ってきた。
何か言いたげだがそれを知らないフリして、暗闇の世界を後にした。


***


薄っすらと目を開くと、朝日に透かされた障子の格子が影として浮かび上がっているのが目に入った。
些か胸の奥が嫌にざわついていること以外は、毎日繰り返している朝との対面に変わりなかった。
そのままぼんやりと(くう)を眺めていると、朝日に照らされることでようやく視認出来るような細かい埃がキラキラと舞っていく。
……決してこの部屋が埃っぽいとか、そういうことを言っているわけではない。きっと鉄裁(テッサイ)さんが掃除してくれたんだろうし。


電気の要らない明るさに小さくため息をつく。
朝は嫌いだ。何故こんなにも世界を輝かせてしまうのか。
そこら辺の雑草すら生き生きとしているし、鶏は太陽を歓迎するかのように鳴くし。また新しい一日を迎え過ごさなければならないなんて、これほど憂鬱なこともない。
こう言うと自分がいかに陰気な奴か実感するな。夜光にも負けず劣らずってか。

そういえば、知り合いで朝が好きな奴がいたな。好きな理由は先述の私が嫌いな理由そのまんま。彼の事は嫌いではなかったけど、そこの価値観だけはいつまで経っても相容れなかった。
そんな彼の話は、また暇なときにするとしようか。


私に使われなかった布団を律儀にたたみ直し、いかにも使いましたよという感じを醸し出そうとするがこの店に顔を出すのも一度や二度ではない。昨夜の浦原さんの言動的に私が布団を使っていないのバレてるみたいだし。
でも別に良い。干渉してこないのが分かっているからね。

朝日の眩しさに目を細め、欠伸を一つ。
さて、お日様の下を歩きに行くかね。

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ぎるたん - シグさん» お返事遅くなりすみません。 コメントありがとうございます。浦原さん選んで良かったなと思いました笑。 完結まで頑張りたいと思います! (2020年4月20日 1時) (レス) id: abc690efab (このIDを非表示/違反報告)
シグ - 面白いですね!?僕は浦原さん好きなので…応援してます!頑張ってください! (2020年4月17日 19時) (レス) id: b759b643e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぎるたん | 作成日時:2020年4月13日 1時

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