青峰の妹が変な知識持ってる件について【黄瀬】

後悔、だけどこれでいい。 ページ25

バタンッ


「はぁ、はあっ…」


自分の家まで、全力で走って帰ってきた。


ズルズルと、そのまま力なく座り込む。


「なに、言ってるんだろ、私」


舌の根が乾かぬ間に後悔。


でも、ここで私がああ言わずに、センパイが体を壊したら。


そうなれば、きっと今より後悔するだろう。


うん。これでいいんだ。


センパイの、ふんわりと笑った顔


さっきの、作られた冷たい作り笑い


そして、驚いた顔。


離れない。ずっと、残ってる。


鼻がツンとしてきて、喉に何かつっかかってるような感触。


泣くな。


センパイが倒れちゃったら嫌でしょ？


あんな作り笑いされたら嫌でしょ？


「大丈夫、」


そう言っておけば、楽になれる気がしたから。


「寂しくない」


泣いてる暇があったら、言葉を紡げ。


自分が、そう思い込めるようになるまで。


呪文を、唱え続けろ。


「辛く、ない…」


ぎゅっと、かたく手を握り締める。


「ちょっと距離が遠くなるだけ、寂しくなんかない、よ、」


嘘。


傍にいて欲しい。

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