キバナさん(幼少期)の思い人は１つ年上の少女 (ページ2)

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「ねえ、キバナ！！ソニアんとこの研究所行こうよ！」

俺が家を出た瞬間、とっしんするように近づいてきた誰かは、くそ明るく声をかけてきた。その誰かというのは迷いようもなく俺の幼馴染の一人であるAなのだが。

Aとは物心ついたころから一緒にいて、ダンデよりも長い付き合いだった。天真爛漫で男の俺よりも活発なこいつには振り回される事が多い。

Aは屈託のない笑顔を見せながら、俺の手を引っ張る。

「はぁ？一昨日行ったばっかじゃねーか」

「だって、今日には一昨日なかったポケモンの新しい情報があるかもしれないじゃん！」

こうやって彼女は、年上という特権を使って俺をいろんなところに連れまわす。時には危ないことまでしそうになるくらい猪突猛進で、いつからか俺はこのわがまま少女を守ってやらなくてはと思うようになり、仕方なくいつも付き合ってやってきた。

現在もAは半ば俺の意思を無視しながら、腕を引っ張り続けている。

前を歩くAは俺よりも少し手も大きいし背も高い。これはこのくらいの歳では仕方のないことだと、以前親に話した時には笑われながら言われた。力はどちらが強いかわからないけど、やはり悔しい。

Aはそれを知ってか知らずか、俺の手をしっかりと覆っている。
そこから伝わってくる体温に少しどきりとするのだってこの年齢では仕方のない事だ。多分。

そして、いつもわがままガキ大将((な行動しかしていないこいつもやはり女の子なんだと、その手の柔らかさから嫌という程実感させられてきた。

不可抗力で赤くなった顔を隠したくて、しかめっ面をしていると、タイミングがいいのか悪いのかAが振り返って俺の顔を見てしまった。

「キバナどーしたの？怖い顔してるぞ～」

俺の表情を崩そうとAは俺の頬を引っ張る。

「……なんでもない。A姉には関係ねーよ！」

そう言って俺は、握られていた手を振り解いてAを追い越した。

「あ、ちょっとどこ行くの！」

「……研究所に行くんだろ。置いてくぞ」

Aはきょとんとした後、すぐさまいつもの満面の笑みを取り戻した。

「うん！！」

ああ、ほらまた胸が痛い。