操りピエロ [シンタロー]

23、始まりと終わり ページ25

生暖かい風が、吹いて、



私とシンタローの体を熱くさせた。



「アヤノ！」



シンタローの声が、響く。



そう、そこには、アヤノちゃんが


立っていた。



「ねぇ、アヤノちゃん、



アヤノちゃんは、



私に嘘、ついてたの？」



アヤノちゃんの顔は、



見えなかった、うつ向いてて。


だけど、はっきりと、



こう言った。



「…ごめんなさい、嘘、



ついてました。



許してくれるとは、思ってないけど、



ごめんね、」



アヤノちゃんの声を、



聞いただけで、わかった。



きっと、アヤノちゃんも、



シンタローのことが、



好き、なんだろうって……。



「謝ってくれて、



ありがとう。それだけで、



充分だよ。」



ねぇ、君も、そうするでしょ？



シンタロー。



「ありがとう、ありがとう、」



アヤノちゃんの頬を、涙が伝う。



「あ！泣いたら、だめだよ！」



アヤノちゃんに、



抱き付こうとすると、



体が、透けていた。



「え？」



私は、中途半端に、



手をあげたまま、



アヤノちゃんの言葉を、



聞いた。



「ずっと、ずっと、



大好きだよ、



シンタロー、Aちゃん。



バイバイ、」



アヤノちゃんは、



泣きながら、精一杯笑って、



消えていった。



「私も、大好き！」



シンタローは、空を見上げて、



「ありがと…」



と呟いた。



空は快晴、日射しは、緩やか。



とても、清々しい朝だった。



「ねぇ、シンタロー？」



君は、ん？と顔を覗き込む。



「もう、アヤノちゃんの、



ピエロじゃないんだからね、



シンタローに、操って貰わなきゃ



困っちゃうよ。」



そいいうと、シンタローは、



笑って、



「あぁ、思う存分、操ってやるよ。」



と言った。



皆は、何て言うだろう、



モモちゃんの、びっくりする顔が、



思い浮かぶ。



「皆、何て言うかな？」



君は、苦笑しながら、



「あいつらのことたから、



パーティやろ！パーティ！



とか言いそうだな。」



と返事した。



そして、歩き出した



私達の手は、堅く結ばれていた。



少し、遠回りしちゃったけど、



そのお陰で、私達、



強くなれたよね。



ずっと、ずっと、



「愛してるよ、シンタロー」



「あぁ、俺も、愛してる、A」

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