ジャーファル ページ8
ジャ「A様!」
「ジャーファル…さま…」
クーフィーヤーをなびかせて、慌ただしく此方に走ってくる。
きっといつまで経っても帰ってこない私を探しに来てくれたのだろう。
ジャーファル様は目の前に広がる光景と匂いで状況を察したらしい。
少し動揺したようだが、見慣れてるとでも言うようにそれらを見下ろす。
そして腰をかがめて微笑んで私の頭を撫でると、「帰りましょう」と言って手を繋いだ。
お互い無言で歩き続ける。
裏道を使っているのか、やはり周りは静かな場所で。
私の履物が地面をを踏みしめる音しかしない。
「…ごめんなさい」
唐突にそう切り出した。
ジャーファルは優しく微笑むと、「怪我はありませんでしたか?」と尋ねた。
私はコクリと頷く。
胸が何かでいっぱいになっていく。
「私、人を殺すことなんてなんとも思わないの。
」
むしろいつも楽しんでいるのよ、と気づいた時には口が動いていた。
「定期的に殺しをしないと、自分でも抑えられなくなるわ。」
無差別に、周りにいる人を傷つけてしまう。
それが大切な人であろうが、そうでなかろうが関係なく。
でも、と長い睫毛を伏せて視線を足元に落とす。
「こんなに、抑えられなかったのは初めて…。
迷惑なんて…掛けたくなかったのに。」
悔しかった。
自分の事すらコントロール出来ないなんて。
目の端に涙が溜まっていく。
ジャーファルはそんな彼女に何かの影が重なったように感じた。
壊れてしまうような、遠くに行ってしまうような、そんな気がした。
そんな気持ちを心に置きながら、フワリと優しく抱きしめた。
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夕黄 - 一話からずっつと読みました。とてもなけました。また作品を作ってください (2017年12月11日 19時) (レス) id: 81431dc03d (このIDを非表示/違反報告)
rain - 面白かったです!これからも更新頑張って下さい!無理はしないでくださいね! (2016年4月12日 17時) (レス) id: 6793ed2170 (このIDを非表示/違反報告)
エネ - 早く続きが見たいです。 (2016年4月10日 10時) (レス) id: dc9c94dfda (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - おもしろいです!更新頑張ってください (2016年3月5日 20時) (レス) id: 7df81c3a51 (このIDを非表示/違反報告)
akua(プロフ) - 紅妃さん» すみません打ち間違えです(汗)正確には午後6時です!教えていただきありがとうございます! (2015年5月16日 19時) (レス) id: 08055b1de1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:akua | 作成日時:2015年4月20日 22時