練 玉艶の愛娘は、アル・サーメンのお姫様でした★パート2

どうして ページ11

その言葉でジャーファル様も何かを察したようで、
「まさか！」と少々声を大きくして言う。




「彼女まで使う気ですか！？」




相手は煌帝国の皇女様ですよ、と慌てているようだ。


彼女、というのは100%私の事だろう。




ジャーファル様に対し、シンドバッド王は冷静で、落ち着いた声で言った。




ｼﾝ「使える駒は全て使う。」


ｼﾞｬ「正気ですか！？煌帝国を敵に回すということですよ？もし、戦争にでもなったら…」


ｼﾝ「その時はその時だ。」




そう言ったが、もし戦争になったらシンドリアに勝ち目は無いだろう。


皆無と言っても良い。



そもそも私が手駒に取られるわけがない。そんなに軽く、安い女ではない。



そう考えた時だった。





ー 利用されてただけだった ー




ー 必要になんて、されてなかった ー





そんな、はち切れそうなほどの悲しみに溢れた声が、私の頭の中で木霊した。


高いソプラノの声。


…この声は、お姫様の声？





ー 私、ただの駒だった ー





その声は前の2つよりも弱々しく、震えていた。



目の前がどんどん霞んでいく。

ゆらゆらと揺らめいている。



そして溜まっていたそれは、とうとう瞳から溢れだし、止まらなくなる。


同じく口からあふれだす嗚咽も、今日は止められなかった。



袖で顔を覆い、その場しゃがみこむと、暫くそのまま泣き続ける。



ねえ、どうして涙がでるの？

どうして、止まらないの？





…どうして、胸が痛いの？

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