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「こちらこそ、お二人の隠れ方がすごく上手で途中からちょっと楽しくなってしまったので…」
零れるAの本音にトントンは小さくため息をつき、エーミールはちらりとゾムを見やった。
エーミールの視線に敢えて気づかない振りをすると、エーミールが小さくため息をついたのをゾムは横目で見た。
トントンの「とにかく始末書の提出」という言葉を最後に場は解散し、ゾムはAとショッピ、チーノを連れて食堂へと足を運んだ。
お昼より前だったため人が少なく、奥の場所を取れた四人はそれぞれ飲み物を持って着席する。
「もう知っとると思うけど、この二人が俺らん中で新しい幹部や。二人とも自己紹介は終わっとるん？」
「一応俺もチーノも名乗りは終わってますよ」
「エミさんからゾムさんがA様の護衛しとるって聞いとるけど」
「俺だけやないで。ここの国に居る間は基本的に幹部が護衛、街に行くときは俺が多いってだけや」
「…街？A様が街まで行くんすか？」
他国の、それも王族の一人であるAが庶民の街へと赴くのかとショッピが純粋に疑問を呈せばゾムはちらりと横目でAが顔をそっと横に逸らしているのを見る。
「…えっと」
「言っとくけど、Aはそこらの王族とちょっとちゃうで。お前らほどやないけど問題起こしとるから」
うぐ、とAが気まずそうに眉を顰めれば、第一印象でしかAを知らない二人は揃って小首を傾げた。
そんな二人にゾムは口角を上げる。
「来て早々、ロープと身一つで何度も脱走してたんや」
「は？脱走？」
「せや、それも二階の客室の窓からロープを垂れ流して降りてんで？普通の王族ちゃうやろ」
「…A様って意外とお茶目っすね」
「お気遣いいただきありがとうございます、ショッピ様…」
「ショッピ君言ってええんやで、お転婆娘って。ちなみに木登りもできるからチーノより運動神経あるんちゃう？」
「ゾムさんの中で俺木登りすらできないと思われてんの？！地味にショックやねんけど…」
「え、チノさん前に階段から落ちかけとらんかった？」
「あれはコネシマさんとシャオさんがいきなり飛び出してきたからや！何やねんあの二人驚かせるために何分も待機って、アホちゃうか」
「それはアホやなぁ」
「アホですね、特に先輩は。ところで何でA様は脱走なんてしたんです？この国が気に入らないとか？」
「基地内が退屈だったらしいで」
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年6月24日 19時
