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「俺は止めたもん!2人が俺も巻き込んだんや!」
「おいゾム俺のことは無視か」
無罪を叫ぶエーミールと呻くコネシマの訴えを無視したゾムはAの手をとり怪我がないか確認する。
それを感じ取ったAが「イフリートが助けてくれたんです」と言えばゾムはここにイフリートがいる意味を何となく察した。
「ひとらん、イフリート散歩中だったん?」
「いや、ふらふらしてたイフリートがいきなり走り出したから何事かと思って追ったらコネちゃんを撃墜してた」
「なるほど」
「ひとらんお前、めっちゃ痛いんやぞ!」
「でもコネちゃん元気じゃん」
「うっさいわ!」
「コネシマさん、動くと氷嚢ずれるて」
「元はと言えばこいつらのせいやからな!」
コネシマの言うこいつらという言葉にゾムが正座中のチーノとショッピを見やると、トントンのお説教は懇々と続いているようだった。
「ショッピ、予定にない殺しをしたらアカン。グルッペンが戦争やって喜んでまうやろ。チーノも相手国の外交官の裏金不祥事を暴き出して再起不能にしたらアカン。今回はオスマンが相手国からなぜか感謝されたって言うとったけど後処理するのはオスマンとグルッペンになるんやで?二人とも勝手な行動ばっかり…よりにもよってAさんまで巻き込んで」
「…うちの軍のこと、馬鹿にされて。特にグルッペンさんなんて戦争大好きのキチガイ野郎だって」
「間違ってないんだよなぁ…」
「オスマンさんも、空気を読めない場違い野郎だって」
「それは殺してええわ」
ショッピとチーノのそれぞれの言い訳に答えるトントンの言葉に、エーミールは小さく「グルッペンが聞いたら泣くぞ…」と零した。
大体の事情を察したゾムはどうしたもんかと後頭部を掻いたが、おろおろとAがショッピとチーノを心配そうに見るあたり怖い思いはしなかったのだろうと内心安堵する。
「エミさんから聞いたかもしれんけど、明日紹介しよ思ってたのがあの二人や。二人とも今まで遠征任務で居らんかったけど暫くはここにおるはずやから挨拶させたろと思ったんやけど」
間違いなくそんな場合ではなくなってしまったが、ショッピとチーノはトントンからのお説教から解放されてAの前に来ると揃って頭を下げた。
「ホンマにすんませんでした…」
「A様に怪我させるつもりはなかったんです…」
意気消沈と謝る二人に、Aは慌てて頭を上げるように言い自分こそと頭を下げた。
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作者名:乃鴉 | 作成日時:2020年6月24日 19時