例えば大切な人が2 (ページ10)

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side M.A.
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『俺もさ、あの時何もできなかったから悔しくて』

「翔ちゃんも同じだったんだね…」

うん…

苦笑いとともに返ってきた。

「──────…俺ね？」

寄り添ってあげられなかった悔しさ、リーダーへの醜い嫉妬心。

自分の事だし話すか迷ったけど、翔ちゃんも同じ気持ちだったなら…

そう思って全部話した。

『そうだね…俺も、全く同じだよ。一番メンバーの事気にかけてるつもりでいて、結局頼りになる大野さんに何もかも任せてしまった。それなのに、大野さんだけが知ってた事が沢山あるって事に嫉妬して…俺がニノの事頼んだのに矛盾してるしバカみたいって思うし、自分にあきれる』

そんな話を聞いて、こんな最低な感情を持ってるのが俺だけじゃなかったんだ、なんて…どこか安心してる自分がいる。

「ニノもさ、体調の事で気にされるのすっごいイヤだと思うけど、また同じ事を繰り返したくはないんだよね…だから、賛成してくれてありがとう翔ちゃん」

『こちらこそ、だよ？…あ、あと明日ニノと会うでしょ？バレない程度に気にかけてやってね』

「あはは、うん…やっぱメンバーの事何でも知ってるね、翔ちゃんて」

『ただ俺が把握しときたいだけだから。頼んだよ？』

「了解！ありがとね、おやすみー」

翔ちゃんとのやりとりでかなり気が楽になった。

でも…

ニノ、今日調子悪かったんだな。

確か翔ちゃんの前にリーダーとも仕事してたはずなんだよな…

リーダーには言えたのかな？言えてたらいいけど…

昔からニノは一人で抱え込んじゃうから…さ、心配なんだよね。

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翌日、控室に入るとまだニノは来てなくて、顔を見ないと心配で…早く来て欲しい。

五分位経ってからかな？やっと来た。

「はよー」

「あっ…おはよ」

「なに？なんかあった？」

「へ？」

「いつもより落ち着きないじゃない」

「…別に？」

「そ？」

ていうか、俺の事よりお前の体調の方が気になってるんだってば…

平然を装ってるつもりだったのに、バレバレって事なんだろうな。

でも、見た感じでは今日は元気そうだ。

まあ、朝だから顔色は少し悪いけどそれはいつもの事だしね。

ゲームを始めだしたのを確認して、俺はみんなに早くニノの様子を伝えたくてバレないようにメールした。