緩ませる ページ31
-立香side-
施設の屋上の方から所長の怒鳴り声が響いてきたので、急いで屋上へと向かった。
立｢所長！一体どうしたのですか？｣
所｢Aがまた訳の分からない言動をしていたのよ、前からおかしい子だったのだけれど。挙句の果てにはどっか行ってしまったみたい。まあ逃げてはいないんだろうけど。｣
フン、と毎度の通り腕を組みながら呆れている。
立｢前からおかしい子…、｣
所｢これだから一緒にいると場の空気が緩むというか、自分達の立たされてる状況を忘れがちになってしまうというか…。仕事は出来るけれども、大事なミッションはいつも外れてる理由はこれよ。｣
確かに、出会って数時間程度の仲だけどサーヴァントということもあってなのか変人というかなんというか…。
所長の言いたいことは何となく伝わってくるし、こんな窮地な状態でどっかに行っちゃったAのことを｢逃げてはいない｣｢仕事は出来る｣と言われてるあたり信用には値する人物というのも伺える。
まあ、良い意味でも悪い意味でもその場の空気を緩ませるみたいだけど。
一体生前はどんな英雄だったのか…。
歴史はそんなに詳しくないけど、正直とても興味がある。
でもさっき宝具が使えないとかって言ってたよね…、
ここに来る前にもDr.ロマンと｢記憶が戻ったのか｣だのなんだのって言ってたから、もしかして記憶がないのかな？
マ｢先輩？何か考え事ですか？｣
そう言いながら顔を覗かせてくるマシュ。
マ｢…あ、えっと、…こんなことに急に巻き込まれたら考え事のひとつやふたつ当たり前ですよね！｣
訂正するようにあたふたと言い直すマシュで現状を再確認する。
…ダメだ、今完全に｢この状況｣から気が逸れてた。
所長の言う通り、本当に気が緩んでしまってた。
立｢あ、うん。まぁね。Aが一体どんな人だったんだろうってちょっと考えてただけだよ。｣
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作者名：きなこもち | 作成日時：2018年5月3日 13時
