瀬名VS無表情【あんスタ】 (ページ16)

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じゅうろくページ16

椚「ここがスタジオですよ。」

社長にお願いされ、一緒にスタジオへ連れてきた。
初めて見るスタジオに驚いたのか辺りをキョロキョロと見渡す彼女。

椚「じゃあ、私は着替えてくるから、ここで待っててくださいね」

そう言って手を話そうとするが離れない。

椚「Aさん？」

じっとこちらを見つめて離そうとしない。

「…あ、きお、み、いっ、しょ」

椚「……はいはい、分かりましたよ」

この時初めて彼女の声を聞いた。

鳴上くんのようにたどたどしい話し方。

(なるほど、この子の家庭も訳ありという訳ですね)

着替えた後、流石にそのまま撮影に入るわけも行かず端っこの方で待っているようにお願いをした。しかし、一向にその場を離れようとせず、ずっと私についてまわる。

椚「Aさん、ちょっとだけ向こう行っててもらっていい？」

「……(ふるふる)」

首を横に振るばかり。
どうしたものかと考えているとそこに

泉「なに、あんた1人で待てないの？」

椚「瀬名くん…あれ？今日の撮影は一緒でしたっけ？」

泉「違う。ゆうくんが椚の後に撮影だから一緒に来た。」

椚「そうでしたか」

泉「そいつ、新しいモデルの子だよね？なんでそんなにくっついてるの？」

椚「それが困ったことに離れてくれないんですよ」

泉「ふぅん……なら俺が預かってあげるよ」

そう言うと瀬名くんは強引に腕を引っ張り、Aさんを連れていった。

泉「あんた、名前は？」

「……」

泉「なに？喋れないの？」

「、A、な、かむら」

泉「そう。俺は瀬名泉。お兄ちゃんって呼んでいいからね！」

どうやら面倒見の良い性格をしているようだ。とりあえず安心して撮影へ戻れる。

(さっさと終わらせますか)