最終手段。【稲荷崎】

Last resort ・・・８ ページ10

角名side


角名 ｢はぁ、これで良かったのかな。｣


自分の部屋で頬杖をつきながら考えてみる。




俺は知ってる。


Aが今なにで悩んでるのかを、

そして何をしてるのかも。


いけない事って言うのは分かってる。

だけどAはこうするしかなかったんだと思う。


Aにとって男バレは居場所。

自分の大好きな場所、誰にも取られたくない場所。


でも、

ソレを突然現れた北上さんがどんどん奪って、

一部の人、いや誰からも

｢ありがとう｣とか言われなくなった。



心ではちゃんと思ってても、

北上さんが入ったから大丈夫、

1人じゃないからマネの仕事は楽になった。



その気持ちが何処か心にあって、

感謝の気持ちは伝わらなくなった。


それを悪い意味で捉えたAは嫌がらせに・・・


ダメだけど、

Aが北上さんに対して嫉妬する気持ち、

嫌がらせをしたくなる気持ちも俺は分かる。

Aにとってこれは最終手段。



それに悪いのはAだけじゃない。


不満を言葉にできないAも

居場所を奪った北上さんも、


｢ありがとう｣を言えない俺、みんなが悪い。



みんなが悪くてAを追い込んだ。


俺ができるのはAの傍に居ることくらい。

後は嫌がらせがエスカレートし過ぎた時に止めたり、


バレそうになった時、

北上さんが耐えられなくなった時に手助けする位。



俺は全員にここ(稲荷崎)にいて欲しい。

誰にも欠けて欲しくない。


特にAには居て欲しい……。

Aにスポドリ貰ったり、褒めてもらいたい。

笑顔を見たいし、笑顔にさせたい。


この気持ちは小学校の頃からずっと。


特別視とか、

そういうので決めるのは悪いことだけど

俺にとってAは特別。


その気持ちがこの結果を産んだ。

このまま何事もなく静かに終わればいい。

誰一人欠けることなく全部終わればそれが1番。


……それでいいんだよね？




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