最終手段。【稲荷崎】

Last resort ・・・７ ページ9

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思い浮かべればなんとやら、


『角名じゃん。』


後ろには少し汗を垂らした角名が居た。


角名｢Aってバス通だっけ。｣

『いや、今日は暑いから。日にやけるし。』

角名｢俺も。｣


そうなんだぁ、って笑いながら2人は沈黙へ。


話すこと無さすぎでしょ。



角名｢…………なんか、懐かしいよね。｣

『え、何が？』


つまんな過ぎてスマホの画面を見つめてると

少し笑いながら角名は言ってきた。

ここ私しか居ないし私に言ったんだよね……？



角名｢俺たちさ家近いし昔は結構遊んでたじゃん。｣

『あれ、そうだっけ･･･。』



記憶にないなぁ、って笑いながら流してく。

だけど、


角名 ｢そっか……まぁうん、そうだよね。｣


角名は少し悲しそうな顔で言った。

あれ、私なんか気に触るようなこと言った？


中学違ったし、高校でもあんま喋んなかったし

覚えてない方が普通じゃない……？


『え、なんかごめん。』

角名 ｢いや、別にいいよ。あのさ、｣


ﾌﾞｩｩ……


『あ、バス来た。角名なんか言いかけた？』

角名 ｢え、あいや……なんでもない。｣

『あ、そうなの？じゃあいいや。』


なんか言いかけてた気がしたけど気のせいか。

とっとと乗ろ〜、って言いながらICカードを使い

バスの適当な席に座る。


角名 ｢……あのさ、Aって彼氏居る？｣

『え、居ないけど。何突然。』

角名｢いや、気になっただけ。｣

『そっか。私は美人でもないし一生居ないかもね。』


私は深雪ちゃんみたいに可愛くない、

愛されキャラでも無いし、

もしかしたら一生彼氏いない歴=年齢かも。


角名｢それは無いでしょ。｣

『…え？』


さっきまでスマホを弄ってた角名が

真っ直ぐな目で強い口調で言ってきた。


『え、ホント何突然。』

角名の珍しい口調にピクっと体が反応する。


角名｢いや、なんでもない。｣

『えぇ、全然分かんないんだけど。』

角名 ｢ごめん。｣



その後は他愛のない会話をしたり、

沈黙が続いたり謎の時間が続いた。


｢次は〜｣

ピンポーン


最寄り駅で降りて少しの道を一緒に歩く。

一緒って言っても無言だけど。


『私、あっちだから。』

角名｢そっか。

あのさ、Aは1人じゃないよ。｣


帰り際、分かれ道で別れる時に角名に言われた。


『え…どした？』

角名｢うんん、なんでも。じゃあまあね。｣


はぁ、今日の角名よく分かんない。

取り敢えず｢またね｣と手を振りながら帰りの道を進んだ。



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