夢桜５* (ページ48)

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～和side～

俺が白風の刀を弾くと、白風は笑う。

「っ・・・いいねぇ。その顔だよ。俺が待っていたのは。

兄貴の仇を取るんだろ？」

白風は刀を握り直して笑みを浮かべる。

「和と翔に俺は倒せない。感情がある限り、俺に敵うはずがない」

「・・・守りたいものがあれば強くなれる」

「あぁ。俺達はあの時とは違う」

「全て・・・全て壊してやる」

白風はそう大声で言った後、目つきが変わった。

葵を斬ったあの時の表情だった。

あの日の出来事が走馬灯のように頭の中を駆け抜けていく。

「っ・・・」

もうあんな思いはしたくない。でもまた大切な人が

目の前から失われたら・・・？俺はもう・・・。

俺は体勢を崩す。

「和っ・・・」

目の前には、白風の刀が迫ってきていた。

翔がその刀を受け止めてくれた。

「お嬢さんを守りたいのは、和だけじゃない。俺もだ。

だから、大丈夫。守りきれるさ」

「翔・・・」

翔は頷く。

俺は、翔が白風の刀を受け止めてくれている間に、白風に斬りかかる。

だが、それも容易に受け止められてしまった。

でも俺たちは諦めない。

守りたい大切な人がいるから。
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孝之さんの傷はかなり深く、血が止まらなかった。

このままだと命が・・・。

突然連れ去られてしまったため、薬箱は手元にない。

ふと思い出した。

膏薬を懐に入れてあったのだ。

膏薬を取り出し、傷口に貼る。

止血法か膏薬が効いたのか、孝之さんの出血は止まった。

しばらく安静にしていれば、命に別状はないだろう。

和さん達の様子を見ると、かなり苦戦しているようだった。

風のように人を斬ると伝説を持つぐらい白風は、素早い。