夢桜５* (ページ42)

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～孝之side～

俺の腕の中でぐったりとするお嬢。

「・・・お嬢。ごめん」

俺を信頼してくれていたのに。

俺を頼ってくれてたのに。

そんなお嬢を裏切ったというだけで涙が止まらない。

でも、一度あっちに連れて行ったらすぐに解放するから。

そして裏切り者の俺は消えるから。

だから・・・許して。

俺は、お嬢を背負って誰にも見つからないように城を後にした。

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～和side～

何かの気配を感じ、振り向く。

だが、そこには誰もいなかった。

「和？」

「・・・いや。何でもない」

気配と言うか嫌な予感がした。

まさか、Aの身に何かが・・・？

城には孝之さんがいてくれるはずだ。

「翔。城に帰ろう」

「あぁ。これ以上探索しても見つかる気がしないからね」

「いや、嫌な予感がする」

「やっぱりか。俺も気のせいだと思って気にしになかったが

和も言うならねぇ・・・。この予感的中かも」

俺達は急いで城に帰った。

城に帰った頃には、日が昇り始めていた。

「和様。翔様。おかえりなさいませ」

喜助がにこやかに出迎えてくれた。

この様子だと・・・俺の気のせいなのだろうか。

城の様子は普段通りだ。

「・・・喜助」

弥彦の慌てた声。すぐに俺達に気付いてはっとした顔をする。

「弥彦。どうした」

俺が訊くと、弥彦は申し訳なさそうな顔をする。

「・・・孝之様とA様がどこにもいらっしゃらないのです。

申し訳ありません。私たちがついていながら・・・」

「弥彦！A様のお部屋にこのような手紙が」

小暮が紙を持って走ってくる。

「小暮。その紙を見せてくれ」

「承知しました」

小暮に紙をもらう。

“お嬢をさらわせてもらう。孝之”

悪い予感が的中してしまった。

「翔」

「あぁ。まさか的中してしまうとはね」

「喜助、弥彦、小暮。城のことは任せた。

白風が襲撃してくる可能性もある。頼んだよ」

「承知しました」

俺と翔は、郷へと向かって行った。

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