夢桜５* (ページ38)

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「A」

和さんに名前を呼ばれ、目を覚ます。

「ん・・・おはようございます」

「おはよ」

和さんのぬくもりに包まれたせいか、すっかり爆睡してしまった。

恥ずかしい・・・。

「変な顔とかしてませんでした？！」

「大丈夫。可愛かったから」

恥ずかしいことをサラリと言ってしまう和さんはやっぱり上手だ。

「朝餉を食べたらすぐ町に出発するって。

明日のために準備が多いらしいから」

「了解です」

急いで支度をする。

いつも通りに、みんなで集まり、喜助さん達が作ってくれた朝餉をいただく。

みんないつも通りなのに、孝之さんだけどこか違和感があった。

「・・・孝之さん？」

声をかけても無言のまま。

「大丈夫ですか？どこかお加減でも？」

「え？いや、ううん。大丈夫」

ただぼんやりしていただけかもしれない。

あたしの気のせいだと良いんだけど・・・。

和さんも翔さんも、孝之さんに何も言ってないしやっぱり

あたしの心配しすぎだろう。

朝餉を食べ終わり、町へと向かう。

「傷薬とか買っておきますか？」

「うん。ここで買うもの多いから

先に薬買ってきてもらうと助かる」

「了解です」

そう言って薬屋に向かおうとすると、孝之さんに

手を掴まれる。

「俺が買って来るからお嬢は、和達といて。

お嬢一人で行かせたくないから」

言葉は優しいのに、どこか威圧感があった。

まるであたしに買ってきてほしくないというような感じ。

「じゃあ、お願いします」

「うん。傷薬とか色々買ってくるね」

孝之さんは一人で薬屋に買いに行った。

薬屋に向かっていく孝之さんの背中を和さんはただ見つめていた。

「何か他に用事でもありましたか？」

和さんに尋ねてみる。

「ううん。大丈夫だよ」

ニッコリと笑う和さん。

翔さんも孝之さんの背中を不思議そうに見つめていた。

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