夢桜５* (ページ28)

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用意してもらった朝食を食べ、荷物をまとめて

主人のところに向かう。

「料金の方は結構でございます。

先払いされておりますので」

主人がにこやかに笑いながら言う。

「でも、日本酒など追加注文したぶんは・・・」

「先払いの方で多く支払っていただいているので

大丈夫です。これは、おつりでございます」

巾着に入った小銭。

「ありがとう。また泊まりに来るよ」

「お世話になりました」

主人に頭を下げて、宿を後にした。

「翔と孝之さんに土産でも買って行かないと頭が上がらないね」

「そうですね。宿に向かう途中に、美味しそうな和菓子屋さんがありました」

「そういえば、そんなお店があったね。そこで羊羹でも買って行こう」

羊羹を買い、城に向かう。

他愛もない会話をしていくと、城に着いた。

「ただいま」

「ただいま帰りました」

玄関には、喜助さんと弥彦さんが待っていた。

「あれ。小暮は？」

「小暮は、お客様の接待をしています」

「お客？小暮の？」

「いえ。葵様に。早急に準備くださいませ」

喜助さんに裏道に案内され、応接間を通らないように

してもらう。

「一体どういうことなの？葵にお客って」

「隣の領地の将軍が葵様に求婚をしに来たとのことです」

「分かった。すぐに準備をする」

「あの、あたしは・・・」

「Aの出る幕ではない。俺が片付ける」

「分かりました」

「翔と孝之さんと一緒にいて。もしもの場合は二人に守ってもらう」

「はい」

和さんは急いで葵様の部屋へと向かった。

「A様」

和さんを見送ると、弥彦さんが話しかける。

「小暮から言伝を頼まれまして、

葵様と和様に会いたいと将軍様が言っておられたと。

私は、将軍様の所に戻って時間をのばすので準備を

お願いします」

「わかりました」

あたしは急いで和さんの後を追った。