夢桜５* (ページ23)

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お風呂から上がり、部屋に戻ろうとすると主人が

駆け寄ってきた。

「二宮様。お食事のご用意が出来ましたので、こちらにどうぞ」

主人に案内され、別部屋に通される。

「二宮様達がお食事の間、お部屋で褥をひかせてもらいますね」

「ありがとう」

「それでは、ごゆっくり」

部屋の襖を開けると、とても豪華な食事が用意されていた。

「すごいですね。和さん」

「あぁ。こんなに豪華な料理は初めて見た。

将軍としての会合はあったが、こんな豪華な食事は出された事が無い」

「帰ったら翔さんと孝之さんにお礼を言わないといけませんね」

「そうだね。手土産でも買って行こう」

座布団に座り、手を合わせる。

「いただきます」

和さんのおちょこに日本酒を注ぐ。

「いやぁ・・・やっぱりここのお酒は美味しい」

用意してもらった食事を口に運ぶ。

刺身や茶わん蒸し、釜飯、煮物、お味噌汁など全てが美味しい。

ここの旅館のレシピを城で少しでも再現できたらみんな喜んでくれるだろう。

よく味を覚えておかないと。

食事も和さんのお酌も進み、全ての食事を平らげる。

「和さんって結構お酒飲む方なんですね」

ほんのり頬が赤くなった和さんに言う。

「え？そうかな？」

普段とは違う笑み。だいぶ酔ってるのが一目で分かる。

「・・・ね、部屋に戻ろう？

俺酔っちゃってるからAにくっついていい？」

和さんは指を絡めてくる。妖艶な雰囲気にドキドキする。

「そうですね。戻りましょう」

平常心を装おうが声が上ずる。

あたしもお酒をたくさん飲んで酔っておくべきだったと後悔する。

ほんのり酔っている程度じゃ乗り切れそうにない。

酔った和さんがこんなに妖艶だなんて聞いていない。
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～翔side～

「今頃、和とお嬢さんはゆっくりしているだろうね」

「そうだね。あそこのお酒は有名らしいし和飲んでるんじゃない？

お嬢はお酒弱いから飲んでないと思うけど・・・」

孝之さんのお酒という言葉に思い出す。

「・・・まずい」

俺は思わず口に出してしまう。

「え？」

孝之さんの不思議そうな顔。

「和は酔うと、だいぶやばいんだ」

「え？どんなふうに？」

俺は和と一緒にお酒を飲んだ日のことを思い出して

ため息が出た。