夢桜５* (ページ3)

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電話が鳴り、目が覚める。

考え事をしているうちにソファで眠ってしまっていたのだろう。

「もしもし」

「Aちゃん。おはよう」

「樹先輩・・・。おはようございます」

「良い報告があるんだ」

「もしかして・・・」

「うん。元の時代に帰れるよ」

「分かりました。和さん達に今すぐ報告してきます」

「あぁ。準備ができたら、研究室に来て」

「了解しました」

先輩の声・・・。どこか疲れていたな。

恐らくずっと研究室にこもりっぱなしだったのだろう。

和さんと会わなくなって何日が経ったのだろう。

樹先輩からも何も連絡がなく、あたしはただ部屋にいるだけの

数日間であった。だから樹先輩の声も久しぶりに聞いた。

翔さんと孝之さんが部屋に顔を出しに来てくれるが

そのたびに和さんの様子を聞くが、難しい顔のまま。

身支度を済まし、和さん達がいる部屋の扉をノックする。

「はい」

出たのは和さんであった。

「あの・・・さっき樹先輩から連絡があって

江戸に帰る準備ができたと」

「ん。わかった。準備ができたら翔と孝之さん連れて

どこに行けばいい？」

「樹先輩の研究室に」

「分かった。先に行ってて」

「え？・・・分かりました」

やはりどこか素っ気ない和さん。

このまま仲直りできないまま江戸に帰るのか・・・。

江戸に帰るまでに仲直りしたかったのだけど無理だった。

あたしは仕方なく先に樹先輩の研究所に行く。

研究室の扉をノックすると、鍵が開く。

研究室に入ると、コンピューターの画面とにらめっこの

樹先輩。

「あれ。和さん達は？一緒じゃないの？」

「はい。先に行っててって」

「へぇ・・・そうなんだ」

樹先輩はため息をつく。

「やっぱりAちゃんこっちの世界に・・・」

「そうだね。そうした方が良いと思うよ」

後ろから聞こえる和さんの言葉。

「和さん・・・何で・・・？」

和さんの衝撃的な言葉にただただ驚くばかり。

「二人、できてるんでしょ？

前、偶然樹君の部屋の前通りかかったらAの

甘い声が聞こえた。いいよ。俺の事捨ててこっちに残っても」

「あれは・・・」

あたしがあの時の状況を説明しようとすると樹先輩が

立ち上がる。