夢桜５* (ページ11)

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～和side～

俺は、Aの手を握る。

「ん・・・？」

うっすらと目を開けるA。

「・・・和さん？」

「ごめん。起こしちゃった？」

「大丈夫です。でもなぜここに？

お仕事が忙しくて手が離せないんじゃ・・・」

Aが言葉を言いきる前に俺は、Aの体を抱きしめた。

「ごめん」

俺はただ一言、彼女に告げる。

「お仕事が忙しいのは仕方ないですよ。

それに、こうして会いに来てくれたの嬉しいです」

どこまでも優しいAに涙が零れそうになった。

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「本当はすぐにでもこうして抱きしめたかった。

でも俺の意地が邪魔をして仕事が忙しいだなんて嘘をついた。

平成でも江戸でも、俺はAを悲しませてばかりで、

俺の気持ちだけを一方的に押し付けてた。

樹君に嫉妬して、俺が勝手に苛ついて、

Aを傷つけることをたくさん言った。

・・・こんな俺でも、もう一度愛してくれる？」

泣きそうな声で訊く和さん。

「樹先輩とのこと、勘違いさせてしまってごめんなさい。

あたしは、和さんが許してくれるのなら、ずっとずっと

和さんの隣にいたいと思っています。

和さん。愛してます」

あたしがそう言うと、和さんはあたしの体を強く強く抱きしめる。

「平成にいるときに、ここに残ればいいって言って、Aが

あっちの世界に残ってしまったらどうしようって怖かった。

俺達と一緒に戻ってきてくれて良かった」

和さんの涙声。あたしまで涙が零れてくる。

「あの時、もう二度と和さんの隣にいられないと思いました。

和さんの隣にいられないのなら、あのまま残ろうと思いました。

でも、翔さんと孝之さんが一緒に戻ってきてほしいって言ってくれて

和さんの邪魔にならないようにいようかと・・・」

「俺が、一緒に戻ろうっていう立場なのに、このまま残ればなんて

言っちゃって。Aのこと大好きだから、こんな俺といたら

不幸になっちゃうって思って。大好きな人こそ幸せになってもらいたいから

つい、あんなこと言ってしまって」

「あたしが、いつ和さんといて不幸だなんて言いましたか？」

「でも、俺は・・・」

あたしは、和さんが言葉を言い切る前に口づけをする。