ドキドキの同居生活６ ページ15
・
いつもの調子なら嬉しい言葉も、今はつらいだけだった。
あの光景を見て、私以外の家族との差に勝手にショックを受けた。不愛想にありがとうって言うので精一杯で。申し訳ない気持ちでいっぱいで、国見くんの顔なんて全然見れなくて、持参したエコバッグに買ったものを詰めた。
店内のBGMだけが、二人の間に流れる。私は、国見くんに一つ質問をした。
「国見くん。」
「なに？」
「私みたいな一般人でもみんなと兄妹になれる？」
国見くんにとって私は初対面も同然なのに、こんなことを聞いて重いと思われないだろうか。なんで、ロクに考えもしないで発言しちゃったんだ。私のバカ！
国見くんは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに優しい表情でふわりと微笑んだ。
「なれる。俺が保証するから。」
そう言い、国見くんは私の頭を撫でてくれた。
兄妹になれるって言い切ってくれて、私にとってはそれだけで十分でとても嬉しかった。
「何話してたの。」
国見くんの暖かい手に安心していると。二人が戻ってきて、頭を撫でられている私を見た白布くんが怪訝そうに聞く。
なんて答えたらいいのか。私がみんなに劣等感を抱いていたなんて、白布くんには絶対言いたくないし……。言葉に迷って、目を泳がせていると国見くんは私の体をぐいっと引き寄せた。
「賢二郎には教えてやんない。」
可愛らしくあっかんべーをしながら、国見くんはそう言った。
こういうの……体を引き寄せたり、国見くんは慣れているのかもしれないが、彼氏いない歴＝年齢の私に刺激が強すぎた。相手がアイドルだから余計に。
「別に気になってないけど。」
「とか言って、賢二郎は結構気になってるよね。」
「京治は余計なこと言うな。」
「あれ、図星？」
三人の楽しそうな会話を聞いていたら、私のちっぽけな悩みなんてどうでも良いことのように思えてきた。
いつか本当の兄妹みたいになれるように自分なりに精一杯、頑張ろう。
そう決意して、いつもより重いエコバッグを持っていこうとした。
「ん、持つ。」
「あ、ありがとう。」
声の主は意外にも白布くんで、エコバッグを代わりに持ってくれた。
口悪いし、意地悪ばっかなのにこういう優しいところあるんだから。やられてる気分でなんかムカつく。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 516人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一(プロフ) - 氷翠さん» 夢主は生粋のいい子ちゃんにしてみました。 読んでくださりこうしてコメントくださることが一番嬉しいです。 更新頑張ります！ (2019年12月27日 9時) (
レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 輝星さん» ありがとうございます。ときめいてもらえて嬉しいです。更新頑張ります……！ (2019年12月27日 9時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - 夢主様良い人すぎて泣いた。大好きになりました！登録できないのが悔しい・・・更新頑張ってください！！ (2019年12月25日 20時) (レス) id: 3f35ea9ba7 (このIDを非表示/違反報告)
輝星(プロフ) - とっても素敵でめちゃくちゃトキメキまくってました！すごく大好きです！語彙力なくて全然言えないのが悔しいです。更新頑張ってください！楽しみに応援してます！ (2019年12月25日 2時) (レス) id: 5fda6ee181 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 神月さん» ありがとうございます。地の文が多くて読みにくいところもあると思いますが、そういってもらえて嬉しいです…！頑張ります。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：一 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ninoma_e
作成日時：2018年5月4日 17時
