死神の隣 (ページ29) - 小説/夢小説

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地行さんからクインケの修理が終わったとの連絡が入り、ラボに出向いたのだが

いつもあのオカッパ(？)頭が見当たらなかった

先客がいたのかなと思い、クインケ製造所に足を進めていくと予想通り見知ったオカッパ頭がいた

「あ、地ぎょ『ッウオエエエッッ！！』不知君！？」

まさかラボで不知君の嘔吐シーンに出くわすとは思わなかったな

一度外に出て彼を落ち着かせる

隣に琲世も居合わせたのだが、気を遣って席を外してくれた

「少しは落ち着いたかな」

優しく背中を擦っていた手を離した

「はい、処理までして貰ってスンマセン」

「気にする事無いよ」

「助かりましたけどAさんは何でラボに？」

「あぁ、0番隊のクインケを取りに来たんだよ」

1つのアタッシュケースを不知に見せた

0番隊は多忙かつ殆ど未成年なので私が出向くのだ

任務は常に最前線であり、クインケの消費も他とは比べ物にならない程多いので地行さんには頭が上がらない(が、心の中でオカッパ頭と呼ばせて貰っている)

「0番隊……有馬さん直属の隊ッスよね
噂でしか聞いた事無いんんですけど本当にあるんですね」

「あ、知らなかったっけ？
私も0番隊所属なの」

「マジっすか！？
有馬さんの部下とは知ってたんですけど
一流捜査官で医者なんて格好良いですね」

不知君は真っ直ぐな青年だ

その嘘偽りのない瞳で私を見るから少し困ってしまう

医者という肩書きがあっても彼の妹を完治する事は出来ないのだ

不知はハッとして口を開く

「あの、深い意味はないんで気にしないで下さい
Aさんが俺達が普通に過ごせる様に気を遣ってくれてるのも知ってますし……」

口籠る不知君を見て思わず吹き出てしまった

「変な気を回させてしまってごめんね
でも、必ずハルちゃんは治すから」

「……はい！」

「Aさん、不知くん大丈夫そうですか？」

心配していた琲世は不知君にペットボトルを差し出す

「うん、顔色も少し良くなってきたから平気かな」

コートに付いた埃を払い、立ち上がる

「じゃ、私は失礼するよ
二人共ロゼの案件頑張ってね」

地行さんから渡されたアタッシュケースを持ち、その場を後にした