【カゲプロ】カノの溺愛事情。-猫目美青年と容姿端麗少女-*１*

メカクシコード ページ8

――ん？ ここはどこだ？
目を開けると、知らない所にいて周りを見渡しても何もない。すると、突然俺の右後ろから聞き覚えのある声がした。

「あれー？ どこに行っちゃったんだろう？」

キサラギだ。仲間に会えた事にホッとし、話しかけようと思って近づいた時。

「お兄ちゃん!! 団長さんいた!?」

「いねぇけど……」

!? 俺はここにいるのに見えてない!? いや、そんなバカな……。

「シンタロー、キドどこ……？｣

今度はコノハだ。皆どうしちゃったんだよ……能力は今、使ってないのに。

「いないっすね……どこに行ったんすかねぇ？」

「キド〜、どこ〜？」

マリー、俺はここにいる!!
そう思ってマリーの細くて白い腕を掴むが、マリーは俺に全く気づかない。
何でだよ……触れれば解除されるはずなのに!!

「カノ！ キドいたっすか!?」

カノ!! お前なら俺がここにいる事分かるよな!?
声に出そうとしても、何故か声が出ない。

「え、キド？ ……キドは」

やめろ……、カノにも皆と同じ事を言われたら俺は……俺は――!!

「キドは……――」




次の瞬間、俺は自室のベッドにいた。
よかった、夢か……。
顔中――体中から汗が噴き出し、女の子物の可愛らしいパジャマは汗でベトベトと身体にまとわりついて気持ち悪い。
10分経ったと思うが、身体の震えが止まる気配はない。とりあえずＴシャツに着替えたが、寝る気にはなれない。先程の悪夢を思い出すだけで胸が苦しくなり、涙が溢れ出てくる。

「――カノッ……会いたい……っ」

知らぬ間にカノの名前を呟いていた俺は、白いカーディガンを羽織ってカノの部屋へ行く。
もう寝てるよな……いや、でももしかしたら起きてるかもしれないし。
思考を巡らせつつ、俺はドアをノックする。

「カノッ……起き、てるか……？ キ、キドだ……ッ」

震える声でそう言うが、10秒経っても返事が来ない。
やっぱり寝てるか……そう思って自室に戻ろうと踵を返した刹那、ドアが開いた音がして誰かが俺の腕を掴んだ。

「……キド、どうしたの？ そんなに汗かいて。しかもこんな時間に……」

「あ……カノッ……」

カノは群青色のＴシャツに少し膝が見えるぐらいの短いズボン姿で、本でも読んでいたのか黒縁眼鏡をかけていた。いつもしてないという事もあり、少し胸が高鳴る。
そして安心のあまり、カノを見た瞬間堰を切ったかのように目からは次々に涙が溢れてしゃがみ込んでしまう。

＃２→←＃７*キドside*

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