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僕の隣にソロモンが座り、アラジンとユナンが向かい側に座るこの状況。
「ねぇ、そこユナンの席なんだよ? それにさ、せっかくだからアラジンと話してあげてよ」
アラジンとユナンは楽しそうに話している。
そんな2人に気づかれないようにコソコソとソロモンに話しかける。
「あぁ」
「そんな空返事しないでさ〜。ああ見えても君に話しかけてもらえないこと気にしてるよ」
話の合間に僕たちの方を見るアラジン。
ソロモンが昔からこういう他人の感情に鈍いのは分かっていたけれど、何だか今はそれがとても腹立つ。
「早くアラジンに元気にしてたかー、とか言ってこいや!」
「そんな簡単に言うけどな、そんな単純な問題じゃないんだぞ」
単純な問題だろーよ!
貴方の息子ですよ、何を言ってらっしゃるの。
そして紅茶に手をつけるソロモン。
「お姉さんとソロモン王は本当に仲がいいんだね」
そんな僕たちの様子をみてクスクスと可愛らしく笑うアラジン。
そんなアラジンを手招きして呼べば、少し遠慮がちに僕の膝に乗ってくる。
「ねぇ、アラジン。このバカ王は君との接し方が分からないだけでアラジンの事を何とも思ってないわけじゃないんだよ?」
説明しながらソロモンをバシバシと叩く。
「アラジンのその人懐っこいところはシバ似だけど、ソロモンはそういうことはダメダメなんだ。本当はアラジンと話したいって思ってるよ。ねぇ、ソロモン?」
「…」
「返事しろや」
その言葉から数秒の沈黙の後。
「なんだ、その…。元気にしてたか?」
ぽんっと頭に手を乗せてわしゃわしゃと撫でるソロモン。
顔は背けたままだけど、そんな不器用な愛情が面白かった。
「うん…!アリババくんやモルさん、たくさんの友達ができて僕は幸せさ!」
照れ臭そうに笑うアラジン。
年相応の反応が彼から見れるのは稀だ。
「そうか…」
そう言ってまた紅茶に手をつけるソロモン。
「一世界の王が情けないな〜。緊張するのは分かるけどさ〜」
「うるせー」
「やれやれ…」
そして紅茶を飲み干したソロモンがユナンにカップを差し出す。
「おい、峡谷のマギ」
「今継ぎ足すよ…」
トポトポと紅茶がカップへと注がれていく音が心地いい。
「さぁ、どうぞ…」
さっそくそれに口をつけるソロモン。
「ねぇ、彼は峡谷のマギじゃなくてユナンって言うんだよ?」
「それくらい知ってる」
知ってるのになぜ名前で呼ばないのか。
気になる感情を紅茶で押し流した。
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凛 - 更新ありがとうございます (2022年8月20日 11時) (レス) @page26 id: 9cf2b69289 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 更新されてる…ありがとうございますありがとうございます……ヒェ… (2022年5月8日 3時) (レス) @page24 id: db51d70f74 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - しののさん» コメント感謝です。長い間停止していたので見てくださる方も少ないと思っていたのですごく嬉しいです、ありがとうございます! (2021年3月3日 21時) (レス) id: efbd3140cf (このIDを非表示/違反報告)
しのの(プロフ) - 更新ありがとうございます...!!ソロモン大好きなので嬉しいです!生きる活力になります...。 (2021年3月3日 21時) (レス) id: b0110b8174 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - 凛さん» コメント感謝です、今後ともよろしくして頂けると嬉しいです! (2021年2月19日 21時) (レス) id: dd11559b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2017年8月3日 13時