5 〜アルマトラン、迎えたのは最悪の結末〜 ページ11
もし、アルマトランで追放されるも、あの壮絶な戦いでみんなを助けに戻り戦うが、圧倒的なる戦力差に死んでしまったら…。
ーー
身体中が痛い…。
建物や人の焦げる匂いが鼻をかすめる。
「…っ」
声を出そうとするも、胸が痛くてたまらない。
あぁ、きっと肋骨が折れてるんだ…。
両方の腕は、肩から手の甲にかけて縦一文字に切られている。
これでもう、戦えない。
魔道士として死んだ。
仰向けになるようにして転がってる僕。
そこから見える空は、灰色の煙にまみれていた。
先程、周りから聞こえた喧騒や悲鳴はいつのまにか無くなっていて。
痛む首を少し傾けらたら、シバが倒れていた。
そしてその少し先、薄い水色の髪をした男性。
あぁ、あれはウーゴだ…。
ソロモンとシバの子を助けてから襲われて死んだのか。
そしてそのもっと先。
昔からの一緒だった見間違えるはずのない彼。
「…っ、」
ソロモン…。
君も死んでしまったのかい?
バカだなぁ君は、皆んなを守るために最後の命の欠片を燃やすなんて…。
でも褒めてあげるよ。おかげでたくさんの人が地下都市で生き延びることができるんだから。
『お前はどれだけ上から目線なんだよ』
いつものように、笑うかのように言うソロモンの声が聞こえた気がして。
「…、」
その幻聴に言い返してやろうとするも、胸が痛くて痛くて声が出せなかった…。
あー、情けないなぁ本当。
助けに来たくせに、役立たずで終わって。
挙げ句の果てには声すら出ないよ…。
瞬きをするごとに、視界が薄らいでいく。
死が迫っているんだ…。
人は…、死ぬとルフへ還る。
ルフへ還ったら、いっぱいいっぱい旅ができるのかな?
もう、みんなと別れる事もなく戦いで傷つく事もない?
また前みたいにバカやりながら、旅ができるのだろうか。
あぁ、そしたら最初にソロモンをからかってやろう。僕が言った通り、神様になるべきじゃなかったろう?って。
そしたらきっと、悪かったよって言うんだろうな。でも、もう終わったことだろう?とか何とか言ってくるだろうな…。
そしたら、そうだねって言ってやろうか。
そして、また君がバカやらないようにずっと一緒にいてあげよう…。
もう一度、灰色の空を見上げてみる。
煙はやんでも、灰がパラパラと降ってくる。
この光景…。
これが灰なんかじゃなくて雪だったらなぁ…。
『じゃあ、一緒に雪でも見に行くか!』
そんなソロモンの声に賛同するかのように。
僕は目を閉じた。
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凛 - 更新ありがとうございます (2022年8月20日 11時) (レス) @page26 id: 9cf2b69289 (このIDを非表示/違反報告)
まくすうぇる(プロフ) - 更新されてる…ありがとうございますありがとうございます……ヒェ… (2022年5月8日 3時) (レス) @page24 id: db51d70f74 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - しののさん» コメント感謝です。長い間停止していたので見てくださる方も少ないと思っていたのですごく嬉しいです、ありがとうございます! (2021年3月3日 21時) (レス) id: efbd3140cf (このIDを非表示/違反報告)
しのの(プロフ) - 更新ありがとうございます...!!ソロモン大好きなので嬉しいです!生きる活力になります...。 (2021年3月3日 21時) (レス) id: b0110b8174 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - 凛さん» コメント感謝です、今後ともよろしくして頂けると嬉しいです! (2021年2月19日 21時) (レス) id: dd11559b15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2017年8月3日 13時